『アイアンマン2』

●やたらしかめっつらであざといマーケティングやら観客の嗜好分析などでつまらないエンターテイメントを作っている今のハリウッド映画のなかで、素直に楽しめ、エンターテイメントの本質をキッチリ踏まえて、文句無しに楽しませてくれる。適度にスケベ、お色気シーンも入っているし、ジョークの具合も心地よく、実に決まっている。こういうのこそが娯楽映画だし、アメリカの映画作りの本質、考えなくても一回観て存分に楽しめる映画だ。こういう映画が最近まったくなくなっているのだ、ハリウッドは。金儲けの算段とマーケティングの結果にばかり寄り掛かって非難され責任をとらされることを恐れ、そこそこに受けるだろうと万人が考えはみ出ない安パイの脚本と演出に終始する。「トランスフォーマー』などもその典型。それからすればこういう映画を今でも作ってくれることにまだハリウッドに期待も持てるというものだ。

●それにしてもアクションもカットも編集も見事な出来だ、『ダークナイト』も超品質の塊のような映画だったが『アイアンマン』も勝るとも劣らずの凄い映画品質だ。あっぱれ。

●思わず唇の端を緩めてしまうようなジョークの演出もセンスがあるし、いやはやこれは本当に良い出来の映画だ。

●パート2になって役者もこれでもかというほど豪華。グゥイネス・パルトローの天然系のすっとぼけ振りも巧いし、ちょっとオバカ顔のスカーレット・ヨハンソンがずいぶんと理知的な役というのもギクシャク感がいい。スカーレットがゆるい顔でマトリックス張りのファイトアクションをしていると、かっこいいのだがなんだか笑ってしまう。まあ、それいじょうに車の後部座席で服を脱いで黒下着になって着替えるサービスシーンも笑った。

●なんにしても全編に渡って、なかなかのセンスで笑わせてくれる。その笑いの感覚が憎い。

●なにか単純に楽しめて笑えて、気持ちのいいお勧めの映画ってないかな?と聞かれたら「アイアンマン」観たら?とオススメして全く問題ない映画。