『エアベンダー』

・CGIにたっぷり予算をかけているが、役者は見事に名前の通らぬひとぞろい。そもそもハリウッド映画の製作品が異常に高いのは、異常に高い俳優のギャラによるところが大。そこを削れば予算なんてドンとさがるのに。

・原価というのはどんなビジネスでもあまり表に出さず、知られないようにするものだが、唯一映画だけは原価をひけらかして宣伝する。それとて実際に映画の質を高める為に必要とされる金ではなくて無駄なところ支払われる金が大きいのだ。

・その意味において、この映画は本来必要ではないところにドブに捨て流しこまれる金を、映画の質をたかめるべきCGIに回し潤沢に思いきりつかっているのだから正常だ。これで話がちゃんとしていたら高い評価になるのだが・・・・。

・話がなぁ、脚本がなぁ、これだけショボショボではどんなに頑張っても救いようが無い。それにしてもシャラマンはよくもこれだけ立て続けに腰が砕けるような映画を作るものだ。日本だったらとっくに干されてしまっていそうなものだが。

・『ロード・オブ・ザ・リング」の大ヒット以降、ファンタジーならヒットすると続けて作られたファンタジー映画は似たり寄ったりの内容で続けてコケたというのに、これもまた「ナルニア国物語」やら「ライラの冒険」の類似品のような話。王国があり、女王がいて、それを救う子供たちがいて・・・うんぬんと、設定がまるで同じ。これもハリウッド的なおぞましさで、何かがヒットするとそれに似たようなものを作ればヒットする、少なくともある程度の収益の加減は見込めると相乗り、それをしなければ株主から突き上げられる、大きな失敗をしたくないから似たような作品に手をだす。まったく系統の違う新しい作品に手を出して成功する可能性は全く読めないが、似た作品ならある程度の動員は読める。失敗しても私は最大限の努力をしたんだから私にミスは無いと言い逃れできる。新しい挑戦は失敗したときに言い逃れがしにくいからやらない・・・と、まさにそんなどうしようもないハリウッドパターンをそのまま表しているような映画でもある。

・それにしてもM.ナイト.シャラマンは本当に凄い、シックスセンスをのぞけばどれもこれもトンデモ映画ばかり作り続けているというのに未だにこんな映画を撮れるのだから、撮らせてもらえるのだから。

・ある意味これもハリウッドの奇跡かも、凄い、凄過ぎる、反面的な意味でだが・・・。