『007スペクター』面白いが相変わらずのテキトー脚本。

ダニエル・クレイグの007は『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』までは良かったが『スカイフォール』で、余りにご都合主義の脚本に呆れてしまいもういいや、という気持ちになって次を観ようという気持ちが萎えていた。

それでもまあ、シリーズ物というのはやはり通しで観ておきたいなと言う気持ちが湧くもので、もう2015年の公開から7年も経つけど観てみることに。

冒頭の死者の祭りでの長回しは流石に凄い。

でも、その後の話の展開が。。。

まあ、もうネット上にはあれこれ批判も書かれているようなので、自分更に書く必要もなさそうだが、余りに酷い部分を一つだけ書かずにはいられない。

砂漠のクレーターにあるスペクターの基地、あんな大爆発させといて(ギネスにも登録された世界一の爆破シーンらしいが)なんでスペクターが生き延びてる? 死ぬでしょあの爆発なら。それがなんの説明もなくまたピョロンと出てくるってどうよ? 片目が負傷しただけで? あの爆発の中に居たら全身大やけどどころか黒焦げになってるというのが普通の感覚。

前作の『スカイフォール』でも超ご都合主義の展開があれこれあって興ざめしたが、今回もそれに続くいいかげん脚本だと思うな。

ボンドガールがボンドと懇ろになるのも余りに簡単、短絡的過ぎるし。

ツッコミどころが多すぎてもうなんと言うか。

そういう所をあまり気にせずに観れば、そこそこに楽しめはするんだが。

しかしなぁ、最近の映画、そのストーリー、脚本でいわゆる主人公や登場人物の動機というものがあまりに陳腐で噴飯してしまうようなものが多い。

今回のスペクターにしろ、父親が養子にしたボンドを自分より可愛がるからそれ嫉妬して逆恨みして。。。その結果が世界的犯罪組織なわけ? そんなのが世界の情報を掌握してMI6をも崩壊させようとする巨大犯罪の動機なわけ? そんなファザコンがなんで巨悪組織のボスになってるわけ? そのそもそもの話の設定が軽薄短小というしかない。だから、スペクターも恐ろしい相手という感じがしなくて「なんだこいつ」程度に思えてしまうのだな。

そういえば、シン・エバンゲリオンも人類補完計画だ、サードインパクトだ、ゼーレだネルフだとさんざん風呂敷を広げまくっておいて、結果はその元となったのは単なる碇ゲンドウの超稚拙なマザコン的わがままが事の発端だったというなんとも軽薄短小な種明かしでこれまで20年以上も引きずってきた話を収束させた。これも拍子抜けどころじゃなかったが。

まあ、あれもこれも、その程度の作品ということか。