「DVD化されない思い出のある映画たち。たぶんBD化もないだろう」

●鑑賞した映画の記憶を書き留めておこう。自分がその時、その年齢、その状況でその映画にどんな思いを抱いていたのかを記録しておこう。ノートや日記に書くとそれはいつでもどこでも簡単にアクセス出来るものではなくなる。あの映画はどんなだっけ? と思ったときに簡単に検索して、自分の書いたことを読み返せるのが便利だ。そういう思いから2006年に始めたこのブログもある意味ではいまはやりのクラウド・コンピューティング、ファイリングという流れの中にあったわけだろう。

●気がついたら2006年5月に始まったこのブログももう4年、映画とは違うことも書いているが、記事日数は361日となっていた。ずいぶんと言葉を綴っているものだ。最初の頃に書いたものは今読むとあまりに拙くて消去したいきぶんにもなるが・・・・まあ気がついたときに直していこう。

●あと数日で日記数が1年を越える、そう思ったらなにか区切りにちょうどいい作品を観ておきたいと思うようになった。たくさんある映像ライブラリーの中から、今もう一度観たいと思う作品を選ぼうとするとこれがなかなか出来ない。だが、そんなことを考えていたらふと思いついた。決して名作とか言われるような作品ではなくても心に残っている作品でDVD化されないがために、もう一度観たいと思っても気軽に観ることの出来ない作品がいくつかある。

●映画製作時、配給時の出資者、制作委員会、音楽著作権、さまざまな”権利”がらみのごたごたでせっかく作られた映画が簡単には観ることのできない状態になっているというのは悲しいことだ。それは観る側にとっても、作った側にとっても同じであろう。

レーザーディスクはもうほとんど処分してしまったが、DVD化されないと思われる作品は何枚か残してあった。LDプレーヤーも暫く動かしていないが、LDディスクはおいておくだけでも徐々に劣化して視聴できなくなるとも言われている。この機会にDVD化されていない作品のLDをDVDにダビングして保存しておこう、それと同時にもう一度見直しておこう、そんな気持ちなった。

●いまさらLDからのアナログダビングでは画質の悪さはどうにもならないが、それでも思い立ったときにすぐに観ることの出来る状態にしておくことはいいことだろう。今後何回再生するかもわからないけれど・・・。

そんな思い出に残るなかなか観ることの出来ない作品たち、日本ではDVD化されておらず、LDにもなっていないような作品もある・・・こんなに何でも手に入る世の中になったというのに、千差万別の個人の思い出全てに工業生産物が対応できているわけではないのだから・・・・。

●思い立って暫く電源を入れていないLDプレーヤーのスイッチを入れてみる。LDをセットする。しかし、機械は動くものの映像は出てこない。もうこのLDプレーヤーもかなり古い。10年以上前のものだ。暫く使っていなかったからだめになったか?  せっかく残っているLDをDVDにダビングしようと思ったのに・・・・。この機会に古いLDもDVDに落としておかないともう再生できなくなるかもしれない。そう思って再生可能なLDプレヤーをネットで探すが、やはり状態の良いものはそれなりの値段。数枚のLDをダビングしてしまえば、多分LDプレーヤーを使うことはもうなくなるというのに、わざわざ中古を手に入れるのも気が進まない。LDからDVDへのダビングサービスをしている会社もあるが、一枚3000円程掛かるという。さてと、どうするかと一晩考えて、今あるLDプレーヤーは電源系は問題ないようだし、画像だけが出力されない状態。ひょっとしてピックアップレンズが汚れている所為でははないかと気付く。機械の天板を明けて、ピックアップレンズの場所を確認して、綿棒とクリーナーで軽く拭いてみる・・・再度LDをセットしたら・・・よかった、読み込んだ。映像も出力された。これでDVDへのダビングも可能だ。

●今手元にある数枚のDVD化されていないLDをダビングすれば、このLDプレヤーももう使うことも無くなるだろう。レーザーディスクが日本で販売されたのが1980年頃だという。それから約30年。もう完ぺきにレーザーディスクの時代は終了し、自分の中でも今回のダビング作業でLDというメディアは完全に過去のものとなるだろう。残っている数枚のLDソフトは記念として残しておく。その昔、荻昌弘さんがTVで「これからの映画はこんなふうにして楽しむことになります」といって銀色の鏡のような宇宙人が作ったかのようなきらきら光る円盤を機械にセットし、映画を映し出したとき、子供ながらに「なんであんな鏡みたいな円盤から絵が出てくるのだろう」と目を丸くして驚いた。

●時代は確実に変化し、映像ソフトのメディアはDVDで初めて花開いた。それから約10年。今DVDからBDにメディアは変わろうとしている、メーカーは変えようとしている。だけど、その変化はVHSからDVDに変わるときと比べれば非常に遅々としている。美しい映像は感動を呼び起こす。だがまだしばらくはDVDで自分は充分だ、映像の美しさよりもプライオリティーが高いものは映画のストーリーだと考えているのだから。

『WIND』(1992)
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・日本ではなぜか「ウインズ」というタイトルになっている(笑)・・・・ヨット好きなら一度は観ておきたい一作だ。これはアメリカでも暫くDVD化されなかった。コッポラがプロデューサとしてなにかごねたことを言ってDVD化されなかったのかも? ドイツでは早くからDVD化されていたのでドイツからDVDを取り寄せたのだが、流石にドイツ語の音声では観ていて違和感がありすぎてどうにもならなかった。その後アメリカでもDVDリリースされたが、日本ではその見込みはほぼなさそうである。BDでもたぶん難しいだろう。これは日本配給時のスポンサーの問題か。劇場でも観てヨットと海を愛するものとしてとても気に入ったのでLDを保有していた。これは今もう一度みておこう。






アメリカン・ウェイ』(1986)

・このふざけ具合、シニカルさは非常に好きだ。イギリスPAL版のDVDはリリースされているが、日本、アメリカのNTSC市場でのDVDリリースはない・・・・と思って検索していたら、昨年2009/2/24に日本でDVD化されていた!!驚いた。エムスリイエンタテインメントからのリリースだが、きっとこの映画を好きな人がいたのだろう。でなければこの作品をあえてリリースするような状況は今の日本の映像マーケットにはないのだから。これは買わねばなるまい。早く買わないと絶版になりそうな気もするし。この映画はスターチャンネルで偶然観て、とても気に入ってVHSに録画しておいたのだが、そのVHSテープももうどこに消えたことか・・・だが、DVDで手に入るとなればこれは嬉しい話だ。このブログを書き始めた最初の頃に日記に書いている作品でもある。
2006/5/18の日記:http://d.hatena.ne.jp/LACROIX/20060518



『K2 愛と友情のザイル』 (1991)

・この作品もなぜかDVD化はされない。北米版ではリリースされている。山岳映画としては割と良い出来なのだが。今井通子さんが映画の中で雪面に出来た風の跡(なんて言っただろうか?)を見て「あれはヒマラヤではありえないですね」と言っていたのを思い出す。『ウインズ』と同じでこれもヘラルドの配給。この頃のヘラルド配給は権利関係を複雑にしてしまっていたのだろうか? だから映像ソフト化が出来ないのだろうか? 



『MOUNTAIN MEN』(1980
・邦題はなぜか「ワイオミング」?? これもスターチャンネルで偶然に観た作品だ。チャールトン・ヘストンとブライアン・キースが「そこで俺は死んだのさ!」と大笑いして語るシーンが思い出深い。気持ちのいい作品だ。これも北米版はリリースされている。買うかな?





稲村ジェーン』(1990)、『波の数だけ抱きしめて』(1992) 
・もう20年近く前になってしまうわけだ。この頃はバブルだったし、今とは違って世の中が活気づいていた。世の中全体が上を向いて明るかった気がするなぁ。まだまだ若かった頃に観たこの二作品。時代を象徴するような映画。思い出深い。どちらもLD、VHSではリリースされたがDVD化はされないのであろう。今改めてこの1990年の作品を観るということは、ちょっと感傷的かもしれないけれど、やはり時代が良かったときののいい映画だなって思う。映画は時代の空気を如実にスクリーンに映し出す。この二つの邦画には閉塞感なんて感じないのだから。DVDにダビングして保存しておくこととしよう。
☆2010年6月25日に遂に『波の数だけ抱きしめて』がDVD、BD化されるらしい。うーん、18年の歳月をしてようやくか。DVDのマーケットもBDのマーケットも縮小している今になって・・・まあそれでももう映像ソフト化は無理かと思われていた作品が発売されるのだから喜ぶとしよう。せっかくLDからDVDに焼いたのに・・・まあいいか?