日本アカデミー賞  映画批評 by Lacroix

●本国アメリカのアカデミー賞もロビー活動や権力関係で決まっているようなもので当てにはならないのだが、今年の日本アカデミー賞はうんざりするほどテレビ局に支配されてるかの感が否めない。(数年前からその傾向は過度に顕著化していた)

全ての邦画を観ているわけではないが、昨年から公開されている主要な作品は観ている。

そういうところで自分としては、1,2,3と順位を付けるなら。

1位:「包帯クラブ
2位:「アヒルと鴨のコインロッカー
3位:「それでもボクはやってない

となる。

●2位の「アヒルと鴨のコインロッカー」は丁度この週末にDVDが発売されて再見しているのだが・・・・素晴らしい。涙がでそうになる。
この切なさは・・・。そしてこの脚本の見事さ。最優秀脚本賞はこの作品以外には有りえない・・・・と思うのだよね。本当に素晴らしい作品だ。
包帯クラブ」がなかったら確実に昨年のナンバーワンだった。

●1位の「包帯クラブ」は軽いようでいてズシリと響く秀作だ。戦わないで世の中を変える為に作ったクラブ・・・青春の辛さ、悲しさ、そして世の中に対する無力感、そういったものに歯向っている高校生の姿に身につまされる。グイグイとお前はどうなんだよと迫ってくるような映画。この映画も来月DVDが発売されるから、また映画館の感動を味わえると思うと待ち遠しい、

●3位の「それでもボクはやってない」は強烈な社会批判、日本の裁判制度、警察批判、検察批判に及んでいる。絶対劇場では掛からないから地方の公民館周りをしよう。なんてイイながら作られた作品だという。
これを見たら、腹が煮え来る変えるような怒りを持ってしまう。一体何なんだこんな制度は、そしてそこに乗っかった人達はって。

日本アカデミー賞だが、この三作品の中でノミネートされているのは「それでもボクはやっていない」だけである。テレビ局や大手広告代理店が製作委員会に入っていないような作品は、明らかに蚊帳の外に置かれている・・・・・。

●多くの日本人が日本アカデミー賞に大した権威を認めていないという現状もあるから、業界内の内輪イベント的であり、勝手にやってればという気もするが、もっともっとイイ作品を世に知らしめる、そういったイベントになってくれれば、なるべきなんじゃないのと思ってしまう。

●授賞式は2月15日・・・・敢えて見るまでもないな。

●「包帯クラブ」「アヒルと鴨のコインロッカー」は映画として多くの人に見てもらいたい。
それでもボクはやってない」はかなり社会性の色彩が強い映画なので、すこし色彩の並びが前の二つとは違うが・・・こういう映画は正座して真っ正面に対峙して見なくちゃいけない一作であろう。


注)今年の日本アカデミー賞最優秀作品賞の最有力と言われている「キサラギ」だが、実は未見である。
話しと作り、そして作り手側にあざとらしさが鼻に付いていたからだ。
ま、後で暇な時に見るかね。


★映画批評 by lacroix