『わたし出すわ』(2009)

・なんだかなぁ〜〜〜雇われ監督ばかりやっていて自分独自の映画をしばらく撮っていないから、なにか作家性だとか監督の独自性だとかを無理やり出そうとして撮ったような作品に思える。

・なんだかなぁ〜〜〜途中まで観て、これってこのあと信じられない超常現象とかカルトチックな摩訶不思議な能力をもった得体の知れないものが出てきてサスペンス・ホラーみたいになるんじゃないのか?黒沢清の亜流みたいな作品になるのか? と思ったらそんなところには行かずなんだかよく分からない、グズグズしてもやもやして全然意味不明の終わり方になってしまっているし。そこに何か伝えたいものがあったとしてもこんなわけの分からない映画にしなくてもいいだろうという気持ちになる。

・一体何のために何を考えてこんな映画撮ったんだろう。晩年の監督はいい加減あてがわれた映画ばかリ撮っているのが嫌になって、なにか特徴のある、なにか特別に思われる、なにかタダの監督ではない、なにか異色の、そんな作品を撮りたくなった、残したくなった・・・のだろうか?

・でもなぁ、こんなのではなぁ、こんなわけの分からぬ映画を取るなら、もっともっと他の手があっただろうに、なんて思ってしまうのだ。

森田芳光は一体なにを考え、なにをしようとしていたのか。

・無理にこじつけたり無理に深読みしようとすれば、なんとでも言える、あーとでもこーとでも言える。それはどんなクダラナイ作品でも同じだ。みょうに分かりにくく作って、みょうにもったいぶって作って、うらになにかあるような、裏になにか信念や思想があるような、そんな作品というのもあるが、そういう思わせぶりは・・・しらけるのだな。ケッって感じなのだ。

・「わたし出すわ」って変なタイトルも、なんかシモネタに繋いでいるのかと思ったが、タイトルもまったくもって駄目駄目。

・39 刑法第三十九条(1999年)
海猫(2004年)
間宮兄弟(2006年)- 監督・脚本
サウスバウンド(2007年)- 監督・脚本
椿三十郎(2007年)
わたし出すわ(2009年)- 監督・脚本
武士の家計簿(2010年)
僕達急行 A列車で行こう(2012年)- 監督・脚本

こうして見ると『39』以降は全部溜息のでるようなものばかりだった・・・