『化身』(1986)

黒木瞳・・・若っ。宝塚を退団してこれが映画デビュー作か。新人が芸能界で話題を取るべく思い切って全裸、セックスシーンを演じる。それも一つの手だろうが、ちょっと落ちぶれた清純派女優がヌード、濡れ場を披露するのと違い、宝塚を退団したばかりの女優が脱いでセックスシーンを演じるといっても、それほど注目を集めなかっただろうな。当時の年齢だと25歳位。若々しくピチピチギャルというわけでもなく、ガリガリでもあるし、黒木瞳の認知が上がったのはこの作品からさらに10年後の似たようなエロ不倫映画『失楽園』からだろうから、いかんせん中年美人のイメージが定着してしまって、25歳位という若さなのになぜかおばちゃんに見えて、感じてしまい今ひとつ欲情はしない。おばさんが無理に若づくりしているように見えて、思えてしまう・・・仕方ないかコレ。
宝塚を離れた黒木瞳枕営業映画・・・と言っても良かろう。

阿木燿子・・・は不惑の40歳か。作詞家という印象でしかなかったが、こういうのにも出ていたのねぇ。しかもこれまたもろ肌さらして大胆なセックス、濡れ場。いやはや。

まあどう考えてもこれはポルノ映画と同列。ポルノ劇場で上映するポルノ映画で糊口をしのいでいた監督がポルノ映画の中に物語や自分らしさ、作家性なんてものを持ち込んでポルノを裸とセックスを見るだけの映画じゃないとひねくっていたのと、一般作映画で通常の劇場で公開出来る映画にポルノを持ち込んで、これは文芸、芸術であると宣っているのが同じだという事。

まあそれにしても、裸とセックスの映像だったらAVでやってればいいだろうという気になる!が。

こういうエロ作品はなんだかんだいっても話題は作りやすいし、そこそこ人も引き込みやすいから定期的に出てくるのだが、今や人気抜群、好感度抜群、美人女優の代表みたいになっている黒木瞳がこんな映画でこんなエロ趣味の枕営業してたというのは、なんともはや。

その黒木瞳が人気を持ち上げたのが10年後に出た『失楽園』でのまた同じようなエロと裸とセックスの映画。そう考えると、なんだかこの映画を見終わったら、黒木瞳がなんとも安っぽく見えてきた。阿木燿子も同類で然り。