『ゴースト・プロトコル』(2011)

・潤沢な予算をたんまり使っていかにもという豪華な絵の映画を撮っているのだが、中味がスカスカ。

トム・クルーズがファンサービス旺盛というが映画の中の派手な見せ場、アクションシーン、どれもれもの演出があざとい。サービスしてますよ、楽しんでね、凄いでしょ、という撮っている、作っている側の、いわばトム・クルーズの顔が浮かんでいるようだ。

・まるでどこかの宗教団体が二コーっと笑って「さあ皆さん、楽しんでください。一緒に楽しみを分かち合いましょう」とやっているかのようでもある。トム・クルーズ自身サイエントロピーの強烈信者だからそれがそのまま映画に出てしまっているのだとも言える。

・確かに、部分部分を切り取れば凄いなと思えるアクションシーン、スタント、カーチェイス云々とあるのだが、どれもこれも学園祭の企画担当者があれこれアイディアだして盛り上げようとしているのと大して変わりない。

・思いつきの派手ハデシーンを並べて繋ぎ合わせても、映画の本分であるストーリー、脚本がスカスカでまったく深みも重さもない。派手なアクションを見せるためだけに作られたような映画で脚本はピラピラとした一枚の敷き紙程度。

・だからこれも何も残らないのだ。

・子供向けの怪獣とかSF映画と同類といってもいい。話に太さなんか持たせず、ワーッと騒げればそれでいい。そんな作りだ。

・エンターテイメント作品として楽しめればそれでもいいが、話が全然面白くないから結局楽しむことも出来ない。おちゃらけキャラやギャグも寒々しいだけ。