『ラブファイト』(2008)

北乃きいは相当回し蹴りの練習をしたのだろう。何度も出てくる回し蹴りはなかなか様になっているし、これを食らったら脳しんとう起して倒れるかも?

●途中まではアイドルを使った単純な恋愛映画かと思っていたが、桜井幸子が出てきた辺りから急にトーンが変化。昔の色恋沙汰やら、売れなくて必死にしがみついた映画の端約で泥水掛けられるとか、いかさまスパーリングだとかの話になると話が急に湿ってきて、いやーな陰湿さが出てきた。

●アイドルを使った恋愛映画なら余計な大人のごたごたや陰湿さなんか入れないで最初から最後までスパッと明るく持っていけばいいのに。

●幼馴染の高校生が好いた離れたって話だけじゃ、スカスカのありきたりな映画になるし、なにかストーリーに深みを持たせたいとしたのかもしれないが? 大人のじくじくごたごたを入れたことは逆効果。

大沢たかお桜井幸子の恋の部分と、大沢たかおがスパーリングで打ちのめされる部分だけ切り取れば別の映画になりそうでもあったけれど、やっぱりジトジトした四畳半映画になっていたか?

北乃きいが売り出し中の芹沢を一発キックでダウンさせるところはなかなか良かった。

北乃きいは女子高生なんだから唇が口紅とかで赤く見えるのはいいんだが、林遣都の唇が北乃きいと同じくらい赤い。男が口紅してるんじゃないのかってくらい。ラストの対決で二人が顔を突き合わせるシーンだと、ホントに両方の唇の色が殆ど同じ! なんかちょとと気持ち悪い不気味さだった。

●稔に恋する恭子はちょっと可愛そう、というか痛いな。

●幼馴染の女の子が男をやっつける位強くて、男の方は情けなくて、気持ちは隠していたけど本当は昔から好きで……よくある恋愛映画のパターンだから、もう最初からラストが殆ど予想できてしまうし、本当に予想道理の展開。

北乃きいを思いっきり使った、単純、明快な高校生の恋愛映画でさっぱりと最後まで突き通せばよかったんじゃないだろうか? まあ、そうすると内容はもうスカスカで北乃きいとか林遣都ファンしか観に行かないような子供向けアイドル映画になっていただろうけれど。

北乃きいのはつらつとした爽やかさはあるが、映画全体で話は盛り上がりもなく、だらだらと退屈。これで2時間6分というのははっきり言わなくても長過ぎ。

●監督は自分が撮った映像には愛着があるから、あのシーンもこのシーンも使いたい、切りたくないという気持ちは分かるが、この手のアイドル映画なら1時間半で充分すぎるほどだ。

●正直言って北乃きいの回し蹴り以外は特に何も残らない映画……。







(北乃きいって、顔もどちらかといえば芋っぽくて、かわいいとか、美人とかいうタイプではないし、どこにでも居そうな特になんでもない普通の顔つきなんだけど、なんでアイドルなんだろう? )