『タップス』(1981)

●想像以上にシニカルな内容。思想的、哲学的でもあり、捉え方によってはかなりの社会批判、体制批判、軍隊批判、武器批判の思想を内在させた映画。

●武器と軍事教育が行われていれば年端も行かない子供や少年でも国家、州、体制に刃向かうことができる。抵抗することができる。できてしまう。国家組織に反旗を翻す事も出来る、武器とはそれだけの力がある。

●この映画は何を訴えるのか、忠誠心か? 直情的で若さのたぎりで猪突猛進してしまう青春の危うさか? いやそんなものではない、軍事教育の愚かさか、武器、軍隊、拡大解釈すれば世界中で戦争を続けるアメリカという国家への批判か? 

●表立って語られてはいないけれど、この映画の中にはベトナム戦争に反対した人と同じような気持ちが込められている気がする。そして若者の反乱というエピソードを使ってはいるけれど、そこに込められているのは強烈な反戦メッセージ、アメリカの軍隊、国家、体制批難のメッセージではないだろうか? 若者の反乱はすべてその隠喩なのではないか。

226事件と重ねあわせて考えることも出来る。

●考えれば考えるほどに深く深くどうしょうもないところまで掘り進んでしまうような映画。

●最後のトム・クルーズ突然の暴走、ショーン・ペンの演技、

△【銃刀法】 刃渡り6cm以上の物携帯禁止。輸出か廃棄・・・登山ナイフもアーミーナイフも持っていたら逮捕できる。カッターナイフも携帯禁止。刃渡り5.5cm以上の剣(両刃)は所持しているだけで法律違反。輸出か廃棄。

・日本の警察はいうなれば捕まえる気になればだれでも逮捕できる。刀狩りにしろ帯刀禁止令にしろ、人民にいっさい武器を持たせないというのは支配権力が自らの支配を盤石にし、反乱をおこさせないがためのもの。銃刀法も同じといえる。

ティモシー・ハットントム・クルーズショーン・ペン
監督:ハロルド・ベッカー