・この映画、観ていると嘘っぽくなく、この本当に何もない未来の世界がやたらと生々しく、水も肉も果物も酒も何十年も拝んだことのない信じられない食物という状況が本当のことのように思えてくる。今、同じことを撮ったら子供にすら馬鹿にされそうな映画になりそうなのに、40年も前の映画がやたらと真実味があって空恐ろしささえ感じる。
映画のツボ、エンターテイメントのツボはしっかり押さえている。
警察署長や市長に黒人の役者を配するというのはアメリカ映画でよくあること。これも映画を使った黒人の体制不満の空気抜きだが、こういった本編自体が体制批判、社会批判的な映画でも同じ手口が使われるというのは不思議。ライシャワーにとっては人口が増えすぎ、格差が広がり、食料すらなくなり、人間を食料として利用せざるをえなくなった社会の映画ですら、エンターテイメントだったのかもしれない。本人には未来社会の警笛なんて気持ちはなかったのかも知れない。
チャールトン・へストン
エドワード・G・ロビンソン:ソル
監督:リチャード・フライシャー
『海底二万哩』 20000 Leagues Under the Sea (1954)
『ミクロの決死圏』 Fantastic Voyage (1966)
『トラ・トラ・トラ!』 Tora! Tora! Tora! (1970)