『エネミー・オブ・アメリカ』(1998)

・監督:トニー・スコット
・出演:ジョン・ボイド ウィル・スミス ジーン・ハックマン

・この映画は公開当時、観ようとおもってチケットをいつも持ち歩いていながら、どうしても都合がつかなくて見逃してしまった作品。なぜかその後もずっと観ていなかった。14年ぶりにようやくという感じ。

トニー・スコットらしい、反体制、反権力的批判精神ぶりぶりの作品。トニー・スコットはこういうのがじつに上手いし、小気味良い。「スパイ・ゲーム」も似たようなニクイ演出が決まっていた。

ジーン・ハックマンは常にイイ役、いい演技をするな。まさに「切れ者なのか、馬鹿なのか?」というセリフにぴったり。

・仕掛けの配し方もじつに上手いし巧妙、その回収も見事。脚本の作りがじつに巧い。

・こういう一見バカを装っておいて、じつに頭が切れる奴というのは、アメリカでいえば刑事コロンボなどになるかな?

・最終的には悪を実に巧妙に騙してやって、面白可笑しく馬鹿にしてやっつけるところが気持ちいい。

・「スパイ・ゲーム」にしてもこの作品にしてもトニー・スコットの作品は結構好き。「ドミノ」はちょいダメだけど。


・ブッシュはアメリ愛国者法を2001年の911テロの後に強引に通して、結果的にこの映画と同じようなことが政府によって合法的に正々堂々とやれるようにしてしまったわけであり、この映画はそのほんの3年ほど前につくられたということに意味がある。最近でも「バットマン」シリーズでこういった情報監視の危険性と俗悪性は話に組み込まれていたな。「デジャヴ」にもこういった監視システムが描かれていた。それだけ映画で描かれるということは、実際にはそういったシステムが相当に進んで張り巡らされているということなのだ。

☆この日記を書いた翌日、トニー・スコットが投身自殺をした。享年68歳・・・・なんだか、悲しい。またへんな巡り合わせというかんじだ。