『ドラゴン危機一髪』(1971)

ブルース・リーあっての映画。ブルース・リーが出て、動いているだけで画面が面白く躍動する。

●ストーリーは古臭く、もう余りにありきたりな勧善懲悪なのだけれど、ブルース・リーものは細かいこと抜きで面白いわけであり、ブルース・リーが出ているだけで映画のセオリーを全部超越して面白くなる。

●同じストーリー、同じ演出で違う役者がリメイクしてもこの面白さはでてこない。それどころかまったく詰まらない、三流、四流ダメダメ映画として誰も振り向かないだろう。

●映画は何がなくても脚本、良い脚本からダメな映画が出来ることもあるが、悪い脚本から良い映画が出来ることは無い。そして脚本が決まれば何が何でも1,2が無くてもキャスティングと言われるが、この映画は何が無くてもブルース・リー。この一人だけで映画が映画の文法やセオリーを越えて面白くなる。やはりそれだけの希有の逸材。一人が作品の世界全てを担い、一人が全てを面白くしている。

●あらためてブルース・リーの凄さに感じ入る。

●中国や香港、アジア映画に特徴的な人の殺し方のエグさ、賄賂、不正の薄汚さなどはもう定型化してしまっているが、何度見てもこういった部分は気持ち良くない。そのエグさがはいっているかどうかが邦画と他のアジア映画の顕著な特徴の違い。