『ターミネーター4』

●余り書く気にもならなかったのだが、備忘録ということでもあるし・・・。

●70年台、80年代のシリーズ物が、新しいセンスの脚本家、監督によってカビ臭い映画から、華々しく復活することもある。『007カジノ・ロワイヤル』はその良い例。(しかし続く『慰めの報酬』でまたストンと落ちた)「ランボー」シリーズは『ランボー最後の戦場』で遂にシリーズの息の根を止めた。(またやるかもしれないが)「ターミネーター」シリーズは『ターミネーター3』で洋画メジャー作品としては歴史に残る最低映画、最悪映画、最悪脚本を提供してくれた。『ターミネーター3』は余りの酷い内容に目を覆いたくなるような作品であったし、続編に繋がるような終わり方をしているとはいえ、この愚作の後にどうやって話を続けるのか?とハリウッドの低迷に頭を抱えるほどだった。

●そして超愚作『ターミネーター3』から6年、またしても続編となる『ターミネーター4』がやってきた。昨年からの噂によれば、ストーリーも一新し、青年のジョン・コナーにはクリスチャン・ベールが配役され、中身も、CGも今までにない、全く新しいターミネーターシリーズの一作が出来上がった・・・ということであったが。

●現在と未来、未来と過去、その間に起こるタイム・パラドックスのつじつま合わせに脚本家は力を浪費し、結局観ている側としてはもうなにがなんだか訳が分からん。そんなもんどうでもいいという気持ちになってしまった。1と2では未来から現在(過去)へという一方向のタイム・トラベルであったためストーリーも単純であり、タイム・パラドックスもさして気にならなかったのだが、3、4と未来を描き始めたことにより、話がぐちゃぐちゃになってきた。今回の4も突っ込まれないようにタイム・パラドックスのつじつま合わせばかりにとらわれ、その上にまた別のターミネーターまでいれたものだからもうぐちゃぐちゃ。余計なことを考えないでドンパチCGアクションだけ楽しめばいいというのであればそれはそれでいいのだが、もったいぶったストーリーは見終わって非常に白けるものだった。

●CG映像も来る所まで来てしまっているし、人間の目で見て追いかけきれないようなスピードの映像など、どうでもいいやと流してしまう。凄いね!とも思えなくなってしまっている。よくやるねぇとこれまた白けた目で見てしまう。要するに映像に深みも、情緒も何も無い。そんな映像はもう見るのも鬱陶しい。

●『ウォンテッド』も酷かったが、この『ターミネーター4』を観て、もう暫くSF映画は観なくていいやと思ってしまった。ストーリーではなく、CG映像作りにばかりとらわれた映画を観ても何も面白くない。そういう映画は観たくもないし欲しくも無い。小学生や中学生、まだ映画を見始めたばかりの世代や、それこそ大学生位までの若さであれば、こんな映像も「新しい、凄い」と思えるだろうが、数え切れぬほど映画を観てきてしまうと「こんなCG映像だけの映画を観てもちっとも面白くない、心を揺さぶられない」と白けてしまうのだ。沢山映画を観る中で嗜好も変わってきたということなんだろうけれど。

●「スタートレック」も結局観なかった。今回予告編として流れていた「ウォルバリンX-MEN ZERO」の映像も「あああ、またこんな見え透いたCGだらけのアクションか」と思ってしまったし、中身の薄っぺらなSF映画はもう観ているだけで「やめりゃよかった」と思ってしまう状況である。

●ということで、2時間あんまり頭を使わずアクション、ドンパチだけを楽しむのならばこれでもいいだろうけれど、自分にはもう駄目。ターミネーター・シリーズはもう劇場で観る必要などないなと結論付けてしまった。

ヘレナ・ボナム・カーターは『ファイト・クラブ』や『猿の惑星』の頃のイメージとはずいぶん変わって、下膨れした不気味なおばさんになっていた。

スカイネットの中枢を爆破し戦争を終わらせるんだといい、核爆発を起こしてそのスカイネット中枢を破壊したというのに、ラストで「スカイネットは強靭だ、戦いはまだ続く・・」と言ってるのはなんなんだ? あほくさ。

●突っ込みどころ満載。ドンパチだけ。TVシリーズ「サラ・コナー・クロニクル」で便乗売り上げ狙い。それがビジネス、金儲けの常套手段とはいえ、ハリウッドはいつまでターミネーターという名前にしがみ付く? いつまでJ.キャメロンのアイディアに尾ひれを付けて金儲けばかりを考える? ネタ切れと言われて久しいハリウッドだが、ターミネーター4を見ていると本当にネタ切れなんだなとがっかりしてくる。もうどうでもいいやこんな映画と思ってしまった。