『キャピタリズム』(2009)

●去年の12月、映画のプロモーション絡みでマイケル・ムーア来日し、NHKにも出演してインタビューに答えていた。それも夜7:30のゴールデンタイム。旧国営放送であるNHKが日本や世界の問題に対して真剣な番組を数多く製作し、放送している。日本の歴史批判、政治批判、アメリカ批判の番組となんでもやっているのはNHKくらいなものだ。民放はそれこそ資本主義の教義に則ってスポンサーや視聴者を刺激し、広告収入が減るゆな番組、クレームが来そうな番組は放送しない、視聴率が稼げない番組は作らない、放送しない。会社としてのNHKの体質や構造には大きな問題があるとは思うが、作られる番組、放送される番組ということではNHKは民放よりも遥かに問題意識がありレベルが高い。
☆2009.12.3 『NHKクローズアップ現代 反骨の映画監督 マイケル・ムーア』

●そして、守銭奴が政治と民衆を支配し、資本主義の名の元に強欲なグリードが国を動かし、自由の国という大義すら朽ち果てたアメリカであっても、この『キャピタリズム』のような映画が製作され、マイケル・ムーアのような反体制的人物が堂々と映画を作り、それを全世界にむけて公開することが出来るという点は、いかに堕落した国家であろうとアメリカは日本よりは遥かに表現の自由がある。日本でこのような映画を仮に製作できたとしても、公開はおぼつかず、メディアも黙殺し、多くの人の目に触れることも無く闇に沈んでいくだろう。

●映画の中で語られる内容の全てをそのまま盲目的に信じるつもりはない。だが、マイケル・ムーアの作品は嘘や恣意的な情報操作、思想誘導という部分は少ないだろう。(全く無いとは言えない)。この映画を観てどう判断するかの自由は観た者にある。そして自分はこの映画の中で語られ糾弾されていることはほぼ9割以上、真実であり、病めるアメリカ、暴走した資本主義のアメリカ、守銭奴のグリードが徘徊し、古代、中世の国家のごとく、一部特権貴族が農民を働かせ、その働きを税として搾取し、己らだけが享楽を貪っっている状況の現代における再現なのだと考える。

●過去の歴史において、人民の富を、一部の人間が吸い上げ、権力の側ですきかってに人民の利を貪り、自分達だけが享楽に浸っていた時代は、最後には人民の革命により打ち壊され崩壊してきた。フランス革命、イギリス革命、ロシア革命と、人民の怒りが爆発したとき、人民によって政権は打ち砕かれ新らしい体制が作られた。(近代に近づくにつれ、必ずしも革命が人民の為にならなかったということも多くなるが)
暴走した資本主義の国、ムーアの言うがごとく、政権と金融業界、産業界が結託し庶民から富を吸い上げ1%の富裕層の為に政治が行われ、95%の国民の富が貪られる国、アメリカはもう現代における人民革命が起きる土壌が出来上がってきていると言えるだろう。そしてそれは日本を含む、先進国と言われる国々すべてに通じる。

●ひょとしたら近い将来、人民革命が起きるかもしれない、いや、中国の天安門事件のように、武装化した政府は武力によって革命を押しつぶすだろう。あれだけの中国人民が蜂起しても革命はなりえなかったのだから。だが、世の中に革命の気運は高まっている。そんなに簡単に革命なんておきないだろうけれど、その方向によのなかは徐々に流れていっている気がする。

●まだ残るアメリカという国の自由さのおかげで、この映画は多くの人の目に触れる。多くのアメリカ人がこの映画を観ただろうし、これからも観るだろう。それが堕落し腐敗した政治と金融業界、企業、そして富裕層へのボディーブローとなっていくことを望む。

●ムーアは自分だけじゃもうどうにもならない、皆が少しずつ力を貸してくれなければと言う。それは革命への呼びかけと言えるのだ。

                                                                                                                                                                                            • -

・州施設である少年院がベンチャー起業に買収、運営され、利益を生み出すために企業と法廷、裁判官が結託。軽犯罪とも言えないような少年少女の行為までもを裁判官は有罪とし、次々に更生処置として少年院に送り込み私腹を肥やした。
アメリカの航空会社のパイロットの年収はマクドナルドの店長よりも低い。
・企業が資産運用のため従業員に死亡保険を掛けている。従業員に長時間重労働を強い、給料は低賃金に抑え、従業員が死ねば掛け金は何倍にもなって企業に返ってくる。若くて低賃金の女性従業員が一番高く保険金を取ることが出来る。安い掛け金だが、寿命が長いから死亡保険金額は大きくなる。
・この保険は従業員には知らされず企業が保険会社と結び、保険会社も保険商品としてこれを売る。この保険はDEATH PERSANT(死亡農民)保険と名づけられている。(被雇用者をPERSANT 農民、使役人とする表現がまたひどいものだ)
・従業員が死んでも遺族には一円も支払われない、企業は数千万円を受け取る。従業員の命が資産運用の金融商品として扱われている。(加入企業:AT&T,ネスレ、アメックス、シティバンクP&G、ダグラス、バンクオブアメリカ、ハーシーズ・・・)
・今のアメリカは資本主義社会ではなくプルトノミー社会だ。(一握りの層が富を独占し、利益を吸い上げることのできる社会) 全体の1%が95%の資本を使い、利益を吸い上げる。
資本主義は邪悪な存在、資本主義は誤ったシステム。
アメリカは民主主義ではない。
・大学を卒業するために10万ドル以上の教育ローンを組み、卒業後20年近くそのローンの返済を行う国。
ウオール街はいかれたカジノに化している。
・世界一頭が良いとされたFRBアメリカの中央銀行議長 グリーン・スパンはブッシュと共にサブプライム・ローンを強硬に推し進め、そして破綻させ、金融恐慌を導いた。
・今のアメリカは富裕層がその他の国民から略奪行為を行っている国だ。
アメリカ政府 財務省はゴールドマンサックス出身者で占められ、支配され、動かされている。
アメリカの議会はウオール街に操られている。
アメリカ政府はサブプライムローンリーマンショックの金融恐慌で巨額の税金を金融会社に投入し、税金で金融会社を救った。その税金で救われた銀行が住宅ローンを支払えない人々の家を差し押さえ、転売し利益を得ようとしている。銀行は投入された税金を返還し、苦しむ人々に支払うべきだ。彼らの税金で銀行は立ち直ったのだから。
・鼻の先の人参を追いかけさせられ、いつかは自分も金持ちになると思わされていた多くの人々は資本主義と金融業界と政府に騙され金を吸い上げ続けられら。
・こんな国には住みたくない。資本主義は悪だ、排除しなくてはならない。
・労働者のストライキの様子・・・日本でこれは報道されただろうか?
オバマは当選したけれど、アメリカは何も変わっていない気がする。
・宣伝文句をマネーエンターテイメントとする愚かさは頭が痛くなるが・・・・
田原総一朗の政財界「ここだけの話」強欲な資本主義に「正義」はあるだろうか?http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100804/240287/

2010年8月5日

キャピタリズム』HP:http://capitalism.jp/
キャピタリズム〜マネーは踊る〜 - goo 映画