『八甲田山』パネル展示

●八甲田ロープウェーの山麓駅及び山頂駅に常設で映画『八甲田山』のパネルが展示されていた。二年前2008年の3月にこの地を訪れたときにはなかったものだ。NETで調べたところ八甲田ロープウェー開業40周年記念イベントとして2008年5月27日から2009年5月中旬までということで催されたとのことだ。たぶんその後も延長され常設展示のようになっているのだろう。前回訪れたときには見ることのできなかったパネルや写真を偶然今回見ることが出来た。これはちょっと嬉しい気分。しかし初夏から秋の紅葉にかけての一般観光客(年齢の高い層)がここに来て映画『八甲田山』のことを思い出し、懐かしむことはあっても、今真冬のこの時期に新雪を求めて八甲田山に来るスキーヤースノーボーダーにとっては30年以上も前の古い日本映画である『八甲田山』にこのパネル展を見て何かを感じる人は少ないかもしれない。八甲田山のポスターには製作と脚本を担当した橋本忍、そして監督の森谷司郎らの直筆サインもある。映画に興味を持たない人にとってはこの二人の名前もまるでどこの誰かも知らぬ人の名前でしかないのだろう。そういえば2008年3月に青森市内にある雪中行軍記念館を訪れた時も、記念館の中には橋本忍の直筆サインが書かれた脚本や、撮影進行スケジュールノートなどがガラスケースの中にあるわけでもなく、ただ参考資料という感じで机の上に置いてあった。誰にでも手にとって見ることのできる状態で。価値を知る人にとっては貴重な一冊であるのに、ここでは映画に関係した人物の名前が書いてある、ただそれだけの古い本としてしか扱われていない。そこになにかわびしさやさびしさをかんじたものだ。
●こんな物凄い撮影をし、こんな強烈な力のある映画はもう二度と邦画界では生まれることはないかもしれないというくらいの傑作であるのに・・・。





●今回ネット検索していて「八甲田山ファンサイト」というものの存在を知った(http://www.h7.dion.ne.jp/~wakana-s/whiteout_movie_index.html)映画『八甲田山』に特化して今でも更新を続けているサイトがあるとは驚きとともに非常に嬉しくもあり。何気ない映画でも、古い映画でもネットの世界ではこういうファンが映画を支えている・・・・。サイトの中身もしっかりしている。昨年の『剣岳 点の記』の公開に絡んでおこなわれた2008年/フジテレビ「お台場映画王」の「新・お台場映画塾」での撮影監督木村大作のインタビューが当時の凄い撮影状況を語っていて面白く興味深い。八甲田山の映画の中で十和田湖の湖岸の民家が吹き荒れる吹雪と猛烈な風で高波のように押し寄せる十和田湖の岸にへばり付くように立っている絵が強烈であったが「十和田湖ってこんな凄い波が立つのか?」と自分も思ってはいた・・・・木村監督のインタビューで「『湖水が咆哮した』って書いてあるんだけど、十和田湖はいくらなんでもそんなに波立たないんだよ。しょうがないから民家のミニチュアと塩をもって湘南の茅ヶ崎海岸にに言って撮影したんだ。撮影したのをみて監督は「いいね」と言ってくれたけど、よく見ると民家より波が高いんだよ」と語っている。たしかにそうだ、家を飲み込むような波の凄さなのである。これも映画のマジック、映像のマジックだなぁと改めてあのシーンを見ようと思った。(ちょっと凄すぎなんだけれどね、あのシーンは)