『トップガン マーヴェリック』これぞハリウッド、映画の王道を魅せしめる本物の一作

堂々たる映画の王道を突き進む、これぞ映画、これぞ本物のハリウッド、紛い物のない純粋無垢、これこそ正真正銘の映画だ!と自ら胸を張って観客に魅せつけてくるような、そんな映画だった。素晴らしい。

とにかく、この映画に関わっているスタッフとその技術、技量、全てが超一流。それこそ映画界の超一流、選りすぐられたトップ中のトップが集結して作られた映画!正に、この映画に関わる、この映画を作り上げた人々の集団こそがハリウッドの、映画界の《TOP GUN》なのだな。

練り上げられた脚本の素晴らしさは言うまでもない。緻密で精巧で寸分の狂いもないほどに計算された映画の設計図が素晴らしい。

しかも、余計な情報や伏線、今の脚本にありがちなお宝探し、なぞなぞのような狡い仕掛けはほとんどない。過去作へのオマージュ的なものがいくつか入っているが、それが本筋のストーリーを邪魔していない。濁していない。極めて抑制的に使われている。

そもそもそんなお宝探しは映画には必要ないのだ。映画は本筋のストーリーで勝負すれば良いのだ、ちゃちな小細工など邪魔だ。そう、そうあるべきなのだ。

2022年、1986年の第一作公開から36年という長い時間が流れた。平日昼の回なのに劇場には結構人が入っていた。驚いたことにその多くが、おそらくもう仕事も退職して年金生活をしているであろうなと思われる70歳を超えるような人たちだった。

この人たちが第一作のトップガンを観たのは30歳を越えた辺り。日本がバブルに向かう成長期にバリバリと仕事をし、週末に恋人や奥さんと銀座の映画館にトップガンを観に行っていたのだろう。その時を思い出しながら、もうめったに足を運ぶことのなくなった映画館に来たのだろう。そして映画館でもう一度あの青春の日の思い出を心の中に湧き上がらせていたのだろう。

劇場が明るくなったとき、外へと続く通路を、背筋を真っ直ぐにのばし歩いていく着飾った一人の女性が自分の前に居た。その人は白髪の初老の女性だった。
しっかりとした足取りで、胸を張って、とても満足気で誇らしげで、素敵な笑顔をしていた。

この年齢の女性が、一人で映画館に映画を観に来て、そして昔を思い出し若かったころを思い出して、心を生き生きとさせて帰っていける映画。36年ぶりの「トップガン マーヴェリック」はそういう映画でもあるのだな。

そして、36年前には生まれてもいなかった今の20代、30代の世代にも間違いなくこの映画は感動を与えている。

親がこの映画を観た年齢に育った子が、この映画に親と共に感動している。それを思うだけで、なんて素晴らしい映画なんだろうと涙が溢れてしまう。

ケニーロギンスの歌も36年前の曲なのにまったく古臭さがない。これっぽっちもだ。その辺が洋楽の凄さでもあるな。

戦闘機のシーンはもちろん凄いけれど、自分は映画冒頭の極超音速機でマッハ10を超えるシーンが最もよかった。カッコよすぎた。宇宙ではなく、地球の空をあの宇宙的な飛行機が超音速飛んでいくシーンが最高にカッコよかったな。

この冒頭の話の流れ、マッハ10の壁を破ること、超音速飛行機の計画が中止になるということ、これって「ザ・ライト スタッフ The Right Stff」へのオマージュかな。

ライトスタッフではアナログの速度計の針がガタガタ揺れながらマッハを超えるシーンが印象的だったがこの映画ではデジタル計になっている。最後にパラシュート脱出するシーンなんかもそっくり。

サムシェパードが演じるチャックイェーガーもカッコよかった。そのサムシェパードも今はもういない。天国でこの映画に拍手を送っているかも。

まあとにかくなんにしても、素晴らしい映画だった。

こんなに純粋に感動出来る映画も本当に久しぶりだ。

これは歴史に残る正真正銘の映画になるであろう。

PS. Lady GaGaの歌うテーマ曲も最高!

核基地の攻撃の仕方・・・なんか、まんまスターウォーズ EP1 のデス・スターアタックなんだけど。同様にハングマンのあの現れ方、あれってルークの乗ったXウイングが帝国軍のTIEファイターに照準を合わされ、もはこれまで、と思った瞬間に颯爽と現れるミレニアム・ファルコンに乗ったハンソロのあのシーンだな。ちょっとこの辺りはSWのいいとこ模倣しすぎでは? オマージュというレベルを超えちゃってる。パクリに近いんじゃない?