『BALLADバラッド 名もなき恋のうた』

●水の上を滑るようにカメラが進むオープニング。『グラン・ブルー』の最初のシーンで使われ、その後余りにもあちこちで使われている映像。今更こんな使いまくられたシーンを頭から使うとは・・・これはもうオマージュでもなんでもなく、アイディアの枯渇、貧困。一見して「あの映画のあのシーン」「よく見るなこの映像」と思われるものを映画の頭に使うというのはもうそれだけでダメだなこれはと思ってしまう。監督なら、新しい映像を創りだすクリエイターなんてものなら、こんなシーンを最初にもってくるなんて、愚かというかなんというか、もうプライドがあるのかとか、思ってしまう。

●どうせ真似るなら馬が走るところや、足軽の軍勢が迫ってくるところに灰でもまいて、土煙を出し疾走感を出す黒澤組の演出でも真似ればいいではないかと思うのだが、ロクに土埃も上がらずピカピカの汚れのない鎧を来た武者が合戦するシーンなど迫力もなにもない。映画にプラスになる先人の素晴らしきアイディアは取り入れておらず、映画の価値を落とすようなあり触れた手垢のついた見慣れたシーンを真似ているとは・・・何か間違っているだろう。

●それにしても戦闘シーンはカスカスだ。これっぽっちの迫力も緊迫感もない。戦ってる役者の演技もチンタラタラタラという感じ。溜息

●戦に至る直接の原因、動機というのが姫に振られたことっていうのも、設定としてあんまりだろう。

●まるで子供向けのマンガ・アニメ映画を実写に置き換えただけと言う感じ。話もキャラクターも設定が余りにも幼すぎる、稚拙だ。

●お子様向けの映画として考えればこれでもなんとかなるが、今のお子ちゃまは大人以上に嘘とか薄っぺらい設定に反応し、そっぽを向く。

●新垣は大正美人というか、時代劇にびっくりするほど顔が馴染んでいる。歳をとっても時代劇女優として安定するかもしれない。アイドル映画やっているよりも時代劇に出ていたほうがいいね、新垣は。