『天国からのエール』

・これもまた、超が付くくらいベタな話で、ベタな展開で、ベタな演出でと、ベタベタまくりの一作なのだが。そうは思っても、やはりこういう映画を見ると、多少ならずともウルっと来てしまう。

阿部寛はテルマエの印象が強すぎて最初は違和感アリアリだったが、それは次第になくなった。

ミムラはいい配役。このあまり目立たず、なんとなく近くにもいそうなおばさんっぽい感じがものすごく自然で良かった。

桜庭ななみ・・・いもっぽい。へたくそ〜という感じで、最近NHK-BSのCMでみるちょっと大人びたお姉さんという感じとは随分違う。いや、ほんとに演技下手くそ。なにやってても全部おんなじ顔って感じなのだが、ラストで涙を流しながら歌うシーンは良かった。あれ、演技じゃないって感じがするな。もう話と役に完全に入ってしまって、本当に泣いて、涙を流しながらギターを弾いていたんじゃないだろうか。ここは下手くそじゃなく、まさに本物だった。このシーンにちょっと感動してドキッと来た。

・その他の役者もみんな演技は下手くそ・・・でも、それが全体としてはうまくまとまってた。

・学生たちがスタジオの外でみんなでご飯を食べるシーンがいいな。たんまりと出された唐揚げやおにぎりやいろんなものを素手でガシッと掴みとって口に頬張る。ほんとうに旨そう。そして昔を思い出させる。運動会や、文化祭や、学校でやってきた催し物のときにかあちゃん連中が差し入れてくれた食べ物。それをみんなでがつがつ食ったこと。それも青春の1ページ。良かったねあの頃は、まっすぐで、余計なことはあんまりしらなくてさ、なーんてことを見ながら思い出してしまった。

・映画としてはムムムだが、話しとして、作品として、この映画が映し出している雰囲気はいいものがある。ま、こういう作品はあんまり辛口でも仕方ない。観て、ほのぼのとこころが温まればそれで充分なのだ。

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