『花のあと』(2010)

この役はキャバクラ系女優なんていわれてる北川景子面目躍如のはまり役。これなら全く文句ない。キャスティングの妙。凛とした顔つき雰囲気がすばらしくはまっている。人は、役者は使いようという見本のような映画。それにしても北川景子のしかめっ面が笑ってしまうほどにはまっている。

映像と一緒に流れる音楽も良い。

雪の降る様も美しい。

3対1の立回りもなかなか。

「ただ一度だけ、竹刀を合わせただけ・・・」その言葉の奥に含まれている感情、愛おしさ、恋・・・和の美しさってものだろうか。

この奥ゆかしさ。この優しさ。この微笑ましさ。この淡い温かさ・・・日本映画が持ち続けるべき世界のどこにもない、唯一無二の素晴らしさ、だろうなぁ。

話にふらついたところが全くない。話が真っ正直、実直、純粋、ゆらぎなし。ここ何十年と(いいすぎか)観たことないような真面目な真面目な、純粋な純粋な、美しい美しい、きれいな映画だねぇ。
溜息がでちゃうくらい、穢れのない櫻の花のような映画化。
これはいいね。

藤沢周平作品の映画化はどれもこれもなかなかいい物ばかり。原作者の心が映画にも乗り移ってる。

中西健二