『きな子〜見習い警察犬の物語』(2010)

・動物愛玩映画・・・というジャンルは無いが、可愛い動物をネタに使って客引きを企んだと分かるような映画はほとんど好きじゃない。

・可愛い動物をキャラクターに使えば、子供に受けるし、親子連れをひっぱれるから客動員を増やせるし、癒しぃなんてものを求めるOL、主婦、おばさんなんかも引っ張り込めるし・・・まあ、殆どそういう企みをもって撮られた映画といって過言じゃあるまい。

・動物本来の姿を見つめている訳ではなく、動物の可愛らしさを利用しようとしているのが殆どだから、映画としての質は大概低い、でもその低ささえ動物が可愛いから看過され、”ああ良かったわ〜” ”ああ可愛かったわ〜” ”いい映画やったわ〜”という感想で映画が取り囲まれる。作品を批判するような声は”なにいうてんのよ、まったく無粋やわ〜”とまっというな論もにべも無く否定される。

・そういうのが殆どだから、あまり動物愛玩映画は観ない。まあこれは可愛い子供をダシに使った映画、TVも完全に同じだが。子供を抱いていれば皆優しく接するし、皆お母さんをいい人と思う・・・というようなものでもあるだろう。

・確かに、犬にしろ猫にしろきつねにしろ、頑張って走ってる姿とか人間を救おうとする姿とかは妙に心に訴えてくるものがあるのだが、そこに寄りかかってそれを利用してそれで映画のヒットを目論むようなものはどうにも好きになれない、しかしそういう映画はいつまでもいつになっても作られ続ける。

・雨の場面の撮影・・・めちゃくちゃ下手糞だな。晴れた日だというのにむりやりホースで雨を降らせて雷音を被せてるってのがミエミエ。こんな明るい空で豪雨で土砂崩れなんてそれだけでナンセンスだ。

・ご当地映画として丸亀市とか香川県ではかなりのヒット、らしい。ご当地映画というのはロケへの協力やらロケ費用の削減(というか平気で無理言って地元のご好意に目茶苦茶甘えて、おんぶにだっこしてタダにする)などで製作側としてはじつに美味しいし、その後もご当地では目を瞑っていても人が来てくれるからプロデューサーにしてみればウハウハのパターン。しかも警察犬の訓練なんてことになれば、官が宣伝になるとあれこれ便宜を図って有利な条件をだしてくれるからこれ又おいしい。

・つまりそういう映画そのものではない、作品、脚本、演技とかというものではない、地方での映画撮影という餌を使って、動物という道具を使って予算を落として映画を成立させようという作品であると・・・見えるわけだよなぁ・・・まあ、こういうことをはっきり描くと非難されもするが、実質この映画を観ているとそういう部分がいっぱい見て取れるんだもんなぁ。香川や丸亀市などで気持ち良くこの映画を観たり手伝ったりした人には悪いけど。

《この批評はあくまで映画そのもの、撮られ編集され公開された映画作品に対するものであり、映画の質や出来とか、撮影や公開に至る背景とかそういうものに対する批評として書くのであり、この映画に出てきた”きな子”という警察犬だとか、丸亀警察犬訓練所とかそこで頑張っていた人だとか、実在のものにたいする批判ではない。こういうタイプの映画の作られ方、撮られ方・・・まあそう言ったものに対する考えである。それがひいては今の邦画、日本映画界の状況だとかマズイ体質だとかそういうもの対する批判であるわけで、この映画を観ながら思ったことである。実話だとか実在する人や施設や犬や、そう言ったものへの言葉ではない。あくまで映画という作品やその製作状況にたいして思うところを辛口に書いたということ、そう断り書きを入れておく》

原史奈がでているとは・・・・(◎_◎)! 若い頃の原史奈って、もうめちゃくちゃ可愛いい、スタイルイイ、イイ女だったけど今一つ大人気には繋がらなかったなぁ。もうちょっと歳をとっちゃってしまって顔つきも変わったなぁと思うけれど、この映画で動いている姿を見るとはおもってなかったので、ちょっとビックリ。

・つっけんどんな女の子である番場新奈を演じた大野百花(9歳)がいちばんの名優か?