『結婚しようよ』(2008)

佐々部清の作品はなぜかよく観ている。

吉田拓郎の歌も画面にぜんぜん関係のないようなものが流れているのに、なぜかしっとりと絵と馴染んでいて、じんわりと耳から心に染み込んでくるかのよう。

・何故こんなベタベタで、もう類型的典型的演出、脚本の標本のような映画がいいなぁと思えるのか。格好良くもなく、おしゃれでもなく、センスがいいわけでもなく、朴訥で純朴で単純で新しい感覚もない映画が何故いいなと感じるのか。と、言いたくなるのだが、途中まで観ていると、なんだかこの何でもなさが、あまりに普通でベタベタなところが、工夫も何も感じないほどありきたりで類型的なところが、角や棘のまったくない柔らかな柔らかな真綿の様に思えてくる。

・きっとこういう作品ににそういうものを求めてしまう環境が今の日本に強く漂っている〜なんだろう。これは言ってみれば中高年の年代層に向いた癒し、懐かしさや歯がゆさや甘酸っぱさを感じてしまう作品なのだろう。



・こんな映画ばかり撮っている佐々部清なのに継続的に新しい作品の撮影は続いているし、地道な人気もあるのは・・・・へんに尖りもなく、平々凡々であり普通に、極普通に流れていくような、どこにでもあるような日常、そういうものに懐かしさや思い出やら、それこそ癒しとか心の平穏を求めてしまうような、そういったものが今の閉塞してギスギスした日本に漂っているからなのかもしれない。

藤澤恵麻・・・美人というよりもこの娘もちょっと古風な日本女性というかんじで、かわいい。(最近女優がきれいだとか可愛いとかそっちにばかり目がいってしまっているが)

http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=7692