『マイマイ新子と千年の魔法』(2009)

・公開当時ずいぶんと一部で騒がれていた記憶。NHKでも主婦数人が公開延期を求めて配給会社に直談判なんて番組があった。

・うーん、悪くはない。これも最近の流行、様式? アニメーションでありながら完全に大人向きにつくられた作品。描かれている登場人物の子供たちはキチンと子供の目線で周りをみつめ、物語のなかを動き回っているけれど、描かれた子供が誰向けに描かれているかというとそれは大人向け。「そうそう、子供の頃はこんな感じだった」という大人の感性、回顧に訴えかける絵であり物語。

・大人が「これはいい映画だ、子供に見せたい」なんて思っても、それは大人のエゴであり、この映画を子供がそれほど喜んでみるだろうかと疑問。大人が自分がいいと思った子供時代を思い出す懐かしい映画を、今別の時代に生きている子供が共感したり感動したりできるだろうか?結局子供は「これいいでしょう?」と大人に問い掛けられもしくは強要された映像を見たあと、大人の顔色をみてご機嫌をとり、自分も気に入られたいから「うんよかった」「おもしろかった」と気持ちと言葉を偽る。そうなりそうだ。

・流星、隕鉄たたら製鉄・・・そういう内容まで含んでいるとは夢にも思わなかった。古代日本から続く文明の発祥、その経路、その痕跡。しっかり日本の歴史を折り込んでいるところがいにしえロマン気分を刺激する。

クレヨンしんちゃん以降、こういう昭和懐古の作品がずいぶん出ているが、それはあまり好きではない。