『ひとごろし』(1976)

原作:山本周五郎
テレビ監督で劇場映画初の大洲斉が監督。

●小説ならユーモラスでほのぼのとした面白さ、味わいがあったのかもしれない。

●最後に開き直って堂々と語る松田優作はいつもの凄みをようやく出したという感じはするのだが、これでは最初から作ってきた役を最後に一気に全部ぶちこわすようなもの。思い切った切り返しの展開に面白さはあれど、これでは話の中で積み上げてきた役を最後で全部嘘でした、おちゃらけでしたと言うようなもの。これでは話がまるで面白くもない。味わいもない。そんな短絡的な人格の飛躍などありえないし、根本的に破綻してしまう。これでは松田優作演じる武士はギャグマンガのキャラクターのようなものだ。TV演出的な悪さがもろに出たというべき。

●いうなれば短時間で短絡的に面白いと無理やり思わせようとする、TVドラマそのもの。これで映画として公開できたというのも驚き。これは映画とは言えないようなシロモノ。

松田優作(27歳)この人は年齢による変化が少ない。
五十嵐淳子(24歳)若かりし頃の映像は確かに奇麗で可愛い。
丹波哲郎はこの作品の中では唯一しっかりとした風格のある演技。

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