『帰郷 Coming Home』(1978)

監督:ハル・アシュビー

●半身不随で帰還した戦争負傷兵、押し込まれた病院、車椅子の社会生活によってベトナム戦争時の社会状況を描くというのは、遠巻きから反戦を描いているようでありながら、その実はかなりダイレクトな戦争への怒り、憎しみ、アメリカという国が行った行為に対する義憤が溢れている。

●戦争反対、戦争反対と声高に叫ぶのではないが、監督の”ふざけるな”という憤りが映画に充満している。

●ただ、話は途中から家に残された妻と負傷編の不倫、帰ってきた夫とのいさかい、そしてラストでは高校生を前に戦争体験を語る主人公という、迷走した後に締まりのない終わり方になってしまっている。

●画面の雰囲気、作りはいかにも70年代という感じ。ジェーン・フォンダジョン・ヴォイトもびっくりするほど若い。

●バックに流れる音楽は、サイモン&ガーファンクルビートルズボブ・ディランと当時の曲。

●この映画を観たら、『いちご白書 The Strawberry Statement』 (1969)をもう一度観たいと思った。『いちご白書』は一度だけ観たが、どこかでレンタルだっただろうか?それともTVでやっていたのだろうか? 記憶が不確かだ。DVDでリリースされているのかと思い調べてみたら『いちご白書』も未だにDVD化されていないらしい。名作と言われる映画なのに、今をもって手軽に見ることの出来ない状況にあるというのは悲しいことだ。たまに深夜のTVで放送することがあるそうだが、時間は録画してとっておきたい。ワンコインDVDでいいから出てくれれば嬉しいが。