『彩恋 SAI-REN』(2007)

●同級生の女の子3人の青春物語、恋して悩んで友情を深めて・・・って、これももう数限りなく作られてきたストーリー。それだけ普遍性があり、だれしもが共感し、懐かしく、寂しく思いを抱くストーリーなのだが、映画にするなら単純にそれを描いても過去の作品とどれもこれも同じになってしまう。なにか一つピリッと来るもの、別な味付け、演出がされなければ、それもあざとらしくなく、見事にされなければ、またこれも似たような話、同じような話かよという印象にしかならない。感動がやってこない。
(初めてこういうタイプの映画を観る若い子なら違うだろうけど)

●あまりにプレーンな話。あまりにいつも通り、今までたくさん描かれてきた話と同じ。破綻はなく、それほどいやらしさもなく、そつなくまとまっている及第点の映画だが、面白みは少ない。観終えても「ふーん」と思ってそれだけになってしまう。

●キャスティングは豪華なのだけれど。3人それぞれの個性も生きていない。微妙な違いはあれ、3人が3人とも似たような性格、似たようなキャラ。仲良くなるのは似たもの同士?いや仲間なんてもっとちぐはぐな個性が固まるものだ。

●こういった女の子の友情物語としては西原理恵子原作の『女の子ものがたり』があまりに強烈で痛くもあり悲しくもあり甘酸っぱくもあり、刺々しいまでのリアルさで傑作であった。それと比してしまうと、やっぱりこの映画はあまりに平凡普通すぎる。

●三人の女の子よりも救急隊員に目を輝かせている奥貫薫のほうが印象が強い、演技も味があるか? 

国分佐智子がちょい役で出ていたが、この人も目が大きくて印象的だったからもっと芽が出るかなと思っていたけれど、ブレイクはしなかったなぁ。

●男の子の包茎脱出の話はなんかエグさがあって痛い。姉が弟の童貞を捨てる世話をするとかってのは、ないんじゃないか普通。こういう所に余計な演出をしてるから女の子の純粋な青春ものというところに濁りが入ってしまっている。それがなかったら退屈な話でしかなくなっていたかもしれないが。

●問題はないけど、さらりとして、さらさらしすぎて、さっぱりしすぎて余り引っ掛かりのない映画。