『GOEMON』

●これではファイナル・ファンタジーなどのTVゲームに入っているCG映像と全く同じではないか。いかにもゲームといったキャラクターのカクカクキビキビすぎの奇妙な動き。オタクチックなゲームそのままといった背景、美術感覚、CG映像というよいりもCGアニメ。安っぽいスケール描写。山のように兵士が動いていても、地平線まで見えるような大地を大軍が走って砂埃を立てていても、まるで広大さが出てこない。雨のように矢や鉄砲玉が降り注いできても恐怖感も物凄さも感じない。つまり絵にも背景にも、空にも大地にも空気にも映像にこれっぽっちも躍動感、空気感がない、登場人物に生命感、体温、肉感、皮膚感が感じられない、宿っていない。

●これでは体温も生命感も感じられない平面のセルロイド画の紙芝居のようなものだ。セルロイドの表面に貼りつけたような映像から感動など生まれてこない。

●TVゲーム感覚の映像に慣れ親しみ、その映像を観て育ってきた子供はこんな映像に違和感も抵抗感もなく感動とかするのだろうか?

●登場人物も物語もぺらぺらひらひらと風に舞っているかのようで深み、奥行きなどというものが全く感じられない。

●キャラクターの顔つきだけはイメージの良いものを集めているが、静止したポスターならそのイメージもなんとかなるが、中身のないストーリーに乗って動き出したとたんカスカスの紙細工のようになってしまう。

●やはりこれはどうにも駄目な映画だ、映像だ。奇抜な絵、デザイン、色彩、動きをどれだけ寄せ集めても、それが映画を作り上げていない。部品がそこらじゅうにごろごろ転がっているだけという状態だろう。

●「映画は一に脚本、二に脚本、三四がなくて五にキャスティング」と言われる。この映画は一から五までなんだかよくわからず、その先のCG映像にだけ手間隙掛けて、ハイこれで映画ですと言っているかのようだ。

●ワンショット、ツーショットの奇抜な絵、こましゃくれた映像なら経験と工夫で何とか撮れる。あれこれのアイディアをかき集めればその数も増える。しかしそんなぶつぶつと短いアイディアをいくら集めても、それは映画にはならないのだ。

●茶々役の女優・・・もうこういうキャスティングした時点で終わりと思ってしまう。