『余命1カ月の花嫁』

榮倉奈々瑛太の二人がとても爽やか。ある意味絵に描いたような美しい心をもった若い二人。榮倉奈々瑛太の二人の役者としてのキャラクターにも汚れが全然付いていないから、このキャスティングは実に見事というべきだろう。;

●映像もなかなか彩度も高く美しい。榮倉奈々が森の中を歩くシーンはNHKの自然番組でも観ているかのような美しさと安堵感がある。

●ハンディカムによる動画映像なども組み込んで映画というよりも実写ドキュメンタリーに近い演出をしている点もなかなか。

●言ってみれば水戸黄門的でもあり、展開も結末も分かり切ったストーリー。観ていて驚きもなにもないのだが、徐々に涙腺を緩めていくような話は、普通ならばあざとらしいお涙頂戴演出として目を細めたくなるものになるのだが、榮倉奈々瑛太二人の爽やかな演技に全て救われて余り下世話な事を言う気になれなくなる。

●兎にも角にも、この映画は榮倉奈々瑛太の二人のキャスティングの大成功であり、この二人の清潔、清純さがこの映画の全てと言ってもいい。「良い脚本の後に必要なものは、一にも二にもキャスティング」とはよく言われることだが正にその典型と言える作品。

●TV局のやらせだ、偽装だというようなゴシップに塗れたものになってしまっているが、作品単体としては実に単純、ありきたり、予定調和的な話であるが、非常に美しく爽やかな映画であることは間違いない。