『ブルークラッシュ』

●サーフィン映画で女性が主人公というのはこの映画だけなんじゃないだろうか?ハワイでずっと撮影されたというこの映画も夏のにおいを感じさせてくれる一本。

ドルフィン・スルーで波をかわすとき、髪の毛や鼻の穴から空気泡が出てくる映像が新鮮。

●大波の中をカメラを持って撮影された映像は実に美しい。『ビッグ・ウェンズデー』のような味とは違うのだけれど、これはこれで今風の海の映像としてトップクラスであろう。見て美しい海の青さはよく出ている。

●ストーリーは極々単純で、まるで日本のアイドル映画のような作りなのだけれど、時間も104分と適度であり、夏に海を感じたくて、小難しいことを考えたくなくて、爽やかな映画を観たいということならこの映画はぴったりだ。

●主役のケイト・ボスワースは顔つきもちょっと丸みがあって、美人というのではなく、なんだか日本人的、日本人に受ける可愛い女の子という感じで好感が持てる。スーパーマン・リターンズに出ていたときもイイ感じだった。

●この映画の中ではちょっと気が強いけど、悩んだり迷ったりして、いかにも等身大の女の子という感じがいい。かっこよくサーフィンもやって、最後には大会で勝利をつかみ取ってしまうんだから、女の子理想のヒロイン像なんじゃないだろうか?

●頑張ればなんとか手が届きそうな可愛い子、とりあえず口説きに行っても無下にはねつけたりはしなそうな女の子、という雰囲気でもっと日本で人気が出るかな? と思っていたのだが、その予想は外れた。ハリウッド女優としてはレイチェル・リー・クックなどに近いものを感じるかな?

●黒人客が部屋で使ったコンドームをつまんでクレームするシーンとかはイメージ崩すからカットすればいいのにと思ったものだ。

●2003年の夏、今はもうない藤沢オデオンで観た思い出の作品だけれど、あの頃この映画を観た女の子は「私もサーフィンやってみたい。私もこんな風に波乗りして海で夏を楽しみたい」って思っていたんじゃないかな? そんな女の子の憧れを描いたような作品だと思う。

●まあ、やりたいと思っても女の子でサーフィンはなかなか始めにくいし、この映画に憧れちゃった女の子は鵠沼あたりでブギーボードをやって海に浸かっていたんじゃないだろうか? 

●この映画は女の子の映画だし、女の子に進めたら受けがいい映画かも? サーフィン映画なんて!と端からバカにして拒否する子も多いかもしれないけど。

●2003年の夏にTVで流されていたこの映画のCMが凄く良かった。シェリル・クロウの「Soak Up The Sun
がBGMで、富永愛「この夏最強のサーファー・ガールになる」ってCM。音楽と映像が実にマッチしていてオオ!カッコいい!と夏のスカッとした気持ちよさを感じさせるナイスなCMだった。アメリカ版のトレーラーなんかよりも日本のTVCMの方が何十倍もかっこよく、その後発売されたDVDに特典で収録されないだろうか?なんて期待していたんだけど、やはりそれは無かった。

●出来ればあの超かっこイイ、ナイスなCMをもう一度観てみたい。YouTubeとかで探しても流石に日本のCMは無い。そもそもこの映画自体がそれほど有名でも人気のある作品でもないから、仕方ないか? だれか持ってないかな? と思い出すたび聞いたりしているけど・・・無理だろうなぁ。

アルマゲドンも日本の予告編がカッコよかったんだけどなぁ「終結せよ!」ってゆうやつ。



●まだ今年は梅雨でジトジトしているけれど、7月とか8月はやっぱり海の映画を観たくなる。だが2010年の夏は劇場公開で“これぞ夏映画”と言ったものが無い、まるで無い。

●どうして夏に旬の”夏映画“が無いのだろう? それもこの景気の悪さが影響しているのかもしれない。思いっきり明るく、弾けて、眩しい夏の映画が今の暗くジメジメした世の中の雰囲気に合っていないから、だれも夏向きの爽快な映画を作ろうとしていないんじゃないだろうか?あの09年から92年位までのバブルの頃は夏映画が沢山作られていたんだから。
●夏に夏映画が無いなんて・・・なんだかつまらないね。

●仕方ないから昔の夏映画を観るしかない。でも昔の夏映画にはイイ作品がいっぱいある。