『パルコ・フィクション』(2002)

矢口史靖監督、青春まっただ中最高爽やかムービーの傑作『ウォーターボーイズ』(2001)の次がこれか……。なんだか随分がくりと落ちる。大ヒット最高傑作とも言える『ウォーターボーイズ』の後ならあちこちからもっと大きな映画の話なんて来て、もっと凄い映画に続いていくんじゃないの?とも思うのだが。

●画面もフィルムではなくTVカメラのテイスト。のっぺりとして発色とコントラストと輪郭が異様にはっきりしている絵。

●ノリで言ったらこれは井口昇と同じ。出ている人もかなり被るし。唯野未歩子荒川良々が並ぶとまんま井口作品じゃないのと思ってしまう。(この二人の強烈な個性あってのものだが)

●一時間程のほんのちょっとしたTVのコメディーって感じの作品。劇場公開作といってもシネクイントとかパルコ絡みの場所で公開したってだけのことだろうけど。

●体の骨が抜かれてしまうようなくだらないギャグ、今で言えばユルユル系の映画とでも分類されるか?

●もう終わっちゃったけれど、2005年位から言われていた邦画バブルという時期、いろんな映画が出来たけれど、2000年から2004年位に作られた、『パルコ・フィクション』だとか『PARTY7』だとか『サムライ・フィクション』だとか『ステレオ・フューチャー』だとかの方がよっぽどバブリーだったんじゃないだろうか? 今だったら「そんな作品誰が観るの? 人が入らないでしょう。掛けてくれるところないよ。リクープできないでしょう。儲かりません、売れません、ビジネスモデルに当てはまりません」と言ってプロデューサーに一蹴されそうが企画がバンバン通って映画化され劇場公開されていたんだから。

●この『パルコ・フィクション』もパルコとのタイアップ、バックアップというものがあったから出来た映画だろうが、いまじゃパルコにしたってこの企画を通すほど寛大ではないだろうなぁ・・・・。

●本当の邦画バブルは2000年から2004年頃にピークだったんじゃないかな? 作られる作品本数とかではなくて、こんなのアリ?と言うような企画でもバンバン映画になってたんだから。

●ラストのユルユル脱力系の変なモップ踊りだとか・・・・もうホントまったくという感じで、こういう映画を作って公開出来ていた時期っていうのは限りなく幸せな時期だったんじゃないのかね?

●企業とのタイアップ映画ということでは『ハッピーフライト』(2008)の元アイディアだった映画なのかもしれない。

●個性派の役者がぞろぞろ出てるけれど、もしこれに平岩紙江口のりこを出演させてたら、もっとハチキレタ観てるだけで笑いが出てくるような映画になってたかなって思った。まあそれじゃ『ハッピーフライト』まんまになってしまいそうだけれど。

●真野きりな、ってほとんど他では見ないけれど・・・引退しちゃったのかな?『がんばっていきましょい』に出てたんだ。久しぶりに観るかな名作『がんばっていきましょい』???