『 TO(トゥー)共生惑星』

●二作同時にリリースされた星野之宣作品のOVAだが、『楕円軌道』よりも『共生惑星』の方が好い感じだ。

●宇宙でも行われるアメリカとロシアの対立という作品のスケール感はないのだけれど。

●映像の細密さでは『楕円軌道』、ファンタジックな美しさと戦闘機の質感、輝きといったところでは『共生惑星』が上であろう。全体的には『共生惑星』の方がカチカチとした線描写ではなく、生物の滑らかな曲線を描いているのだから、この二作は敢えてそういう対比的な描き方で仕上げてあるのだろう。

ピカールが一斉に浮上するシーンは良い。

●シニカルなジョークも含めた原作の良さもあるだろうが、作品としては『共生惑星』のほうが良くできているし分かりやすいともいえるだろう。

●特典映像で監督の曽利文彦が「同じ予算でよーいドンで始めたら絶対に日本が勝つ」と言っている。そうかもしれないし、そうあってほしい、今後そういう方向に進んで欲しいと願う。

●CGによる絵のクオリティーは充分に高いレベルだとわかる、あとは『ベクシル』のようなとんでもないストーリーでなければそこそこの物は出来る。『楕円軌道』と『共生惑星』は星野之宣氏のしっかりとした原作があってこそ鑑賞に耐えうるところにあると言うべきであろう。


●アリーナの顔つき、イメージは台湾のイラストレーター平凡&陳淑芬の描く女性に非常に雰囲気が似ている。アリーナの母親の顔つきはちょっとこれヘンテコじゃない? と思うのだが・・・・。

[:W600]

☆2010-03-05 『 TO (トゥー ) 楕円軌道』 映像は美しいが原作の奥深さはない。http://d.hatena.ne.jp/LACROIX/20100305