『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)

●これも10年以上前か。平成ガメラシリーズとしてなかなか良かったな。

ゴジラにしてもガメラにしても映画の怪獣ものはどうしても子供にこびるような映画になっていく。親子連れを映画館に引っ張り込もうとしてあまりに子供向けの映画にしてしまい、子供からも大人からもそっぽを向かれる・・・それがずっと日本の怪獣映画の流れだったが、平成ガメラはどちらかといえば大人向け。その姿勢がいい。かなり映像的にも残酷なシーンがあるから金子監督らはこれを親子連れや子供向けとして作ったのではない。ガメラの顔はまだ子供向けの甘いデザインだが、これはキャラクタービジネス、フィギュアなどで設けようとした出資サイドの圧力か? ここまでハードな内容の映画にしたんだから、ガメラの顔つきだって監督らはもっとハードなものにしたかったのではと思う。これが第二作、第三作となるとかなり凶悪な感じに変わっていく。

●ギャオスはここまでやるか?というくらい凶悪、邪悪。バリバリ人間を食ってしまうシーンがいっぱいあるんだからすごい。

●旧ガメラシリーズから15年ぶりの復活でこの内容のよくゴーサインをだしたなとちょっと驚く部分もある。

●あんまり難しいこと考えずリラックスして楽しめる映画を見たいなと思ってこの平成ガメラを引っ張りだしてみたが、久しぶりに見てなかなか面白いと再認識。演出やらストーリー、設定に突っ込みどころは多々あるにはあるけれど、なんかとっても熱中して見入ってしまった。95分があっという間。まるでだれないし退屈しない、テンポもいい。

●最近殆どみないけれどこの映画の中で鳥類学者を演じる中山忍はかわいいというよりとても綺麗。学者という雰囲気ではないけれど、映画の中の華としての役目を担っている。

●CG全盛の今の映像ばかりを見ていると、気ぐるみ、実際の爆発を撮影した映像は迫力が違うなと実感。スケール感の出し方など苦労したんだろうけれど本当に上手い。とにかく爆破、炎上するシーン、炎や煙の立ち上がりかたなどが最高。特技監督樋口真嗣の本望といったところであろう。

●脚本:伊藤和典の思いも存分にこもっている。

●エンディングにかかる爆風スランプのテーマ曲はどうにもならないな。きっと製作会社と監督などではバチバチと対立があったのだろう。子供向け、大衆向け、ヒット狙いの映画にしたい製作会社側と、大人向けの映画、がっちりとした本物の怪獣映画を作りたいという監督らの意見が火花をちらしていたのだろう。ガメラの顔のデザインやらこのエンディングのテーマ曲などのそういったごたごたの跡、こことここは妥協したというような痕跡が垣間見れるような気がする。

●粗もいっぱいあるけれど、日本の怪獣映画の中ではやはり平成ガメラシリーズは特筆すべき名作であろう。

●面白かったのでガメラ2も続けて観てしまった。