『ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝』

●エヴリン・オコーネルのイメージが違いすぎる。レイチェル・ワイズとマリア・ペローでは余りに顔も印象も違うだろうに。マリア・ペローはオバサン顔しすぎててアドベンチャーな展開のなかで生まれる恋の相手とはとても思えない。

●なんかこの夏は詰まらない映画ばかりが続いている。

●監督のロブ・コーエンは言って見れば今のハリウッドの”雇われ監督”の典型。渡された脚本を如何に派手に面白く、スタジオ側の意向にそって効率良く映像に置き換えるかの職人。いわゆる昔の監督という感覚とは違う人だと思う。だが、脚本のつまらなさは如何に映像で脚色しても詰まらない映画にしかならない。

ハムナプトラ1,2は思いのほかキチンとした映画だった。ストーリーとしては、あるべきところで驚きがあり、恋もあり、スペクタクルもあり、そういった観客を引きつける要素を順繰りに一つ一つ丁寧に出していくという教科書的なムービーだった。大きなミスの少ない優等生のような作品でアルトも言える。満点ではないけど、常に80点か85点のラインの成績をキープし、それ以下には落ちないというタイプ。

●それが今回のパート3になったら、平均点45点位の実に詰まらない映画になってしまった。

●内容としては、そうだなぁ、日曜の朝とかにやってる戦隊物とか変身ロボット物のような子供っぽいストーリー。話しの展開、エピソードへの引っかけが余りに幼稚で、見ていると呆れて「ハァァァ」と大欠伸をしてしまいそうになる。(実際大欠伸の連続だったが)

●なんでこんなカスカスのご都合よく話しを寄せ集めただけってストーリーにしてしまうのかねぇ?CGやアクションシーンが凄いといったって、ベースにあるストーリーがダメダメじゃぁ白けてしまうだけなんだけど。映画なんだから。

●製作費は相当に掛かっているんだろうけど、金とCGの強引な力技で大作っぽく張りぼてを作り上げたという感じだ。中身が全然ないんだから。

●ストーリーを中国に持っていくというのも最近の守銭奴ハリウッドプロデューサーのお決まりの手。中国人スターを使って、中国のことを絡めて撮影すれば巨大な人口の中国で相当数の動員は見込めるという腹積もりであろうが、パイレーツ・オブ・カリビアンにしてもこの作品にしても持って行き方が安直すぎるよ。

●ブレダン・フレイザーも真面目な顔してればイイ感じなんだけど、結局はこういうオチャラケキャラしか出来なくなってるか? 「悪いことしましょ」のダメ男が少し進化した感じではあるけれどねぇ。

●パート2の公開から7年。さして前噂もなく、突然のように「緊急公開決定!」として予告編が流れだしたパート3だが、コロンビアの幹部連中が業績アップを狙って、インディ・ジョーンズの公開年に何とか間に合わせられるようにと突貫で製作させたって感じじゃないだろうか?

●インディーの後に公開すれば、こういったアクション、アドベンチャーを楽しむ流れが出来てるから興行が楽になるって魂胆だったんじゃないだろうか?

●だから、インディ・ジョーンズの最新作の製作が決まった時に、大慌てでそれにぶつける作品を作ろうとして、虎の子の「ハムナプトラ」を引っ張り出し、脚本もキャストも練り上げることなく、大枚叩いて、兎に角大急ぎでCGに大頼りで製作を進行させたというのが、真実ではないだろうか?

●そういう状況で仕事をこなす監督として、ロブ・コーエンは適任だったというわけだ。

ジェット・リーミシェル・ヨーまで担ぎ出し、金の力でCGアーテストも一流どころをかき集め、映画のパーツ一つ一つはレベルの高いモノになっていったのだろうけれど、土台である脚本が煮詰まっていない、子供っぽいストーリー展開のテレビシリーズみたいなものだから、いくらパーツがよくても作品としてはどうにもならんというところだ。

●この映画も途中で眠くなり、大欠伸の連発だった。

●「スカイ・クロラ」「百万円と苦虫女」そして「ハムナプトラ3」と、今年の夏は詰まらない映画が連続しているなぁ。