『涙そうそう』

●ベタという言葉を繰り返すのもあまりにベタであろうが、いやはや本当にベタベタなストーリー。あちこちでよく見たような話をベタベタと貼り付けて2時間の映画にしたかのような印象。台風がやってきて木が折れてアパートのガラスを打ち破ってなんて・・・もうギャグ番組のワンシーンかと思って苦笑してしまう。

小泉今日子はどうも掠れたオバサンの役が多い。というかそういうのが実にぴったりしてしまっている。最近の邦画では小泉今日子はなにかと脇役での出演が多いが、たいてい不幸な役、肌もあれて、人生にも疲れてというような役ばかり。んーかってのアイドルがと思うとなんだか見ているのが辛いのだが、彼女の姿は。

「夕凪の街 桜の国」で最高とも思える演技をしていた麻生久美子だが、この映画では最低とまではいかないが精彩を欠く、なんら感じるものの無い演技をしている。ギャップが大きいな。

●森山良子の「涙そうそう」の世界をモチーフにして映画化・・・ということだが、そのモチーフにしたのって、兄弟がいてお兄さんが死んでしまったってことだけではないのか?

●沖縄ブームで沖縄映画を作ればそこそこ動員は見込める、二次利用でも大きくコケることはない。しかも妻夫木、長澤という人気俳優を使っているのだから、男も女もファンは観る・・・という計算か? しかしこれでは本当に学芸会レベルのストーリーではないか。

●この内容の映画であれば一連のTBS涙そうそうプロジェクトのTVドラマの方がよっぽどイイ映像作品。

●この映画をテレビの2時間枠ドラマスペシャルにでもして、 TV放映された「広島 昭和20年8月6日」「涙そうそう この愛に生きて」を映画として劇場公開したほうがよかったんじゃないの? とまで思ってしまう。