『崖の上のポニョ』

ジブリが「子供向けの作品を作ろう」との目的で作ったのだから、それは見事に成功している。

●話しは単純。まあこれでも小さい子供には分らない部分もあるだろうが、それでも絵の可愛らしさなどもあるし、子供は大喜びであろう。実際劇場はこんなに?と思うくらい親子連れで混んでいた。小学生位の子供だらけ。(-_-) いやぁ、凄かった。この入りならかなりの興行収入になるだろう。まあ、リピート客というのは少ないだろうから、過去のジブリの大ヒットみたいにはいかないだろうけれど。

●しっかりとした童話。親が子供に見せてもなんの問題もない作品。だけど、ちょっと眠くなった。まあ、大人には少し物足りないというか、かったるい感じは否めない。それは作品の質が悪いということではないけれど。

●何故子供、低年齢層はアニメーションが好きなのだろう? キチッとした輪郭とコントラストのはっきりした色使い、まだ生物として未熟、成長途中であるから、そういう認識しやすいものに動物的に反応を良く示す。なんて説もあったが、だとすると大人になってもアニメ好きというのは、そういう未成熟な部分を残しているということ? まあ、こういうことを書くと反論も沢山でてきそうだが、子供が極端なまでにアニメを好きな理由ってどこかに分析されたレポートとかないものかね? 
(今回の作品はあまりコントラストは強くない、淡い感じの色使いが多かったけれど)

●そして段々年齢が高くなっていくと、なぜか時代劇とか歴史物が好きになる。演歌が好きになるのと同じように。これも人生の苦労を重ねてくると、同じように共感出来る部分が多いから時代劇や歴史物が好きになるということか? まあ子供にはまだ知識の蓄積がないから、理解出来ないという部分もあり、大人になってそこそこの知識の蓄積が出来てきて、ようやく時代劇や歴史物、そして演歌なんかの表現している状況を理解出来るようになるから、よく見、よく聞くようになるということなのだろうか? どっかに分析レポートないかね???

●そういうことで『崖の上のポニョ』は殆ど問題の無い、実に堅実、良心的、模範的な作品ということ。大人にとってはちょっとつまらないというか物足りないかな?それがこの作品に対する印象である。

●それにしても、アニメは儲かるだろうなぁ。子供はもう「ポニョ見たい、ポニョ見たい」と親にせがんでいるだろうし、親もジブリのアニメなら安心ということで、夏休みだし連れてってあげるかと思う。子供一人ならいいけど、二人とかいたらどちらか片方だけ連れていくわけにもいかない。結局親子で二人分か三人分のチケット代を払うわけだから、劇場も配給側もウハウハ。ノベルティーも売れる。

●近くの映画館で劇場の外まで人が並んでいるのってホントに久し振りに見た。劇場も大喜び、日本全国、地方にある小さな劇場も、今なら「崖の上のポニョ」をかければ(かけられればではあるが)動員はかなり見込める。アニメをみる親や子供は劇場のキレイさとかイスがどうとか、スクリーンの大きさとか、そんなに気にしないし。そういう意味ではこの作品は日本の地場劇場(一部であろうけれど)の役に立っているとも言える。

●劇場で見たことはないけど、ポケモン東映のアニメなんかもそういう貢献はかなりしてるんだろうなぁと改めて思った。

○公式サイト http://www.ghibli.jp/ponyo/

○映画.com http://eiga.com/movie/53305/

○ぴあ映画生活 http://pia-eigaseikatsu.jp/title/21026/