『神様のパズル』 

●予告編のあまりにちょっとという作りは注目を集めるにはイイが、癖が強すぎる。しかし、音楽の良さもあって見てみたいという気持ちにはさせてくれた。

●ベートーベン「運命」の楽譜最初にある8分休符の話しは・・・・驚きとともに、本当にこういう話題と物理学を繋げるのは秀逸だと感心。

●内容が内容なだけにやたらと宇宙物理学とかの説明的なシーンが多く、それは映画としてはどうかというものである。だが、これは監督の技術であろう。流石三池、退屈になったり、飽きることもなく、ストーリーはドンドン進んでいく。説明調の部分もそれほど気にはならない。

谷村美月は若いのに、顔だけを見ると結構大人びた感じの作りである。これは監督のいやらしさだろうが、谷村美月の胸の大きさ盛り上がりがずいぶん目立つ、というか目立たせ過ぎ、フォーカスあてすぎ。あまりに胸を意識しすぎてるんじゃないの? 「ティアーズ・オブ・ザ・サン」の胸の谷間盛り上げすぎのモニカ・ベルッチみたいだ。ちょっとこの辺はやりすぎだね。

谷村美月は劇中ずっと青のジャージ姿だけ、スタイリストなんかはめちゃくちゃ楽だっただろうね。なんせ衣装が一着だけなんだから。

市原隼人は「虹の女神」でもそうだったけど、ちょっとダメで頼りないような男の役がぴったりだね。

●映画としてはこれは確かに好き嫌いが相当ある作品であろう。

●脚本の粗、設定のちょっとした無理さ、演出の強引さ、突っ込みどころは山ほどあるのだが、大きな破綻無く進んでいくストーリー、これは脚本の展開の巧さ、それを演出する監督の手腕の為す技であろう。見ている段階では次はどうなるのだろう、こんな風に話しが進んでいってラストはどうするのだ?という期待が選考して、こまかな突っ込みどころは見えないで済む。これも映画という映像作品の為せる技。

●全体としては思った以上にワクワクして見ることが出来た、こんな話しにしてどうなるんだろう、この先どうなっちゃうんだろうってね。

●ラストはもっと思いきりやっちゃって、吹き飛ばしてくれと思っていたけど、んー、ちょっとまとめすぎちゃってるか?

●音楽はいいね「まるで、せーかいは、神様のパズル・・・・」というフレーズが頭に残る。

松本莉緒はなんかずいぶんお水っぽいイメージの顔になってしまったなぁ。

●なんにしても三池監督が思いきり好きなことやってるような作品でもある。作品を撮ってきた数と経験値がこういう映画でもいい具合に表現に結びついている。

●予告編にしても、宣伝、ポスターイメージにしても余りにも突拍子もない方向に振りすぎていて、そこは好き好きだが、却って動員を減らしてしまっているかも?

●本当の事を言えば、この作品も「僕の彼女はサイボーグ」と同じ”トンデモ”映画と言えるであろう。だが、この作品は全く客に媚びていない。脚本家と監督がやりたいようにやっているという感じで、ホントに客よりも自分たちが楽しんで作っているかのようだ。その部分で、この作品は尖っているし、ドライブ感もあるし、映画としての巧さも感じる。動員目当てのイヤらしさをさほど感じない(谷村のバスト以外には)・・・そこが同じようなトンデモ映画でも「僕の彼女はサイボーグ」と大きく違うところだ。

●諸手を上げて評価できるような作品でもないし、誰にでも勧められるような作品でもないけど、映画をスクリーンを見つめていたその時間はいい時間として過ごさせてもらった。だから、この作品も嫌いじゃないね。映画としての云々ではなくて、ちょっとひっかかる、気になる、面白い一作。非常に変わった作品という所かな?