『自殺サークル』 

●『紀子の食卓』を見たのだから、その最初の話し、第1作とも言える『自殺サークル』も見ておかねばなと思った。批判しているだけというのもよくないだろうし。

新宿駅で女子高生が手をつなぎ「いっせーの、いっせーの」で集団投身自殺をするシーンは『紀子の食卓』と同じだが、やはり同じく不気味。良くこんな撮影を許可してもらったものである。

●ストーリーは相変わらず意味不明。こういう映画を作りたい、こういうメッセージを送りたいという監督/脚本のイメージはあっても、それが形として出来上がっていない。映画の中で他の全体のストーリーを形成するカチリとはまったパーツにはないっていな。面白い味なのだが、全体に調和せずエゴを主張している。つまり、まだ作品が個人のアクの部分から出ていないのだ。

●何が自殺サークルなのか、何が自殺を煽る心理なのか、なにが本当に言いたいことなのか・・・・ほぼどれも何も分らない。

●撮影や構図、演技、演出という点では『紀子の食卓』よりもこちらの方が映画になっている。

●役者も揃っているのだが、兎に角、話しが意味不明で映画として成立していないと思われる。

●監督の自己中、独善、独りよがりの作品は奇妙で面白いこともあるが、特殊さは特殊さで終わり、心を揺らすまではいかないのではないか。