『紀子の食卓』 

●こういう映画は好きではない。妙に人間社会の病巣の深さだとか、心の闇の深刻さだとか、そういうものをさも平然と「自分は分ってるんだよ。こういうことってあるんだよ。それを皆に知らせたいんだよ。皆も気が付けよ」的な強制的というか、上から「ほらわかれよ」的な観点でいっているように思える。

●なんかエヴァンゲリオンとかに熱中しているようなタイプがこういった映画も「イイッ!」とか言いそうだ。歪んでいるのだ。

園子温(ソノシオン)という監督の名前はシオンから取ったのだろうか? 嫌だねそういうのは??

●駅のホームで手を繋いで女性が「セーノ、セーノ」と笑って叫びながら一斉に電車に飛び込むシーンはやはりショッキング。

●つぐみは物凄く嫌な女を演じているなぁ。目がもうイッちゃってる。これは演技なのか?なんか洗脳されてるような顔と目つきだ。

吹石一恵は役柄にぴったりきている。なんだかダメっぽくて自分に自信がなくて・・・どうしていいのか分らないから誰かに頼りたいような女性像。

吉高由里子はこの映画で目立った一人だが、次は「蛇にピアス」でヌードだセックスシーンだと騒がれている。変な役柄ばかりを充てられる性格女優にならなければいいが。もっとイイ役をやって欲しいものだ。

●この映画で感じるのは、それこそ新興宗教の団体だとか、オウムだとか、なんとか教会だとか、(あんまり書くと変な検索にひっかかるからやめとくか)そう言った以上な集団とそこに捕まった人たち、洗脳されてそれしか考えられなくなった人たち、なんだかそんな人たちの事を描いている、それも正当化して描いているかのようで、見ていて非常に気色が悪い。

●家族の真実、人間の繋がりの嘘・・・なんだかそういうものを描いているといっているようだが、この作品自体、作っている人自体が嘘だとか虚構を押し付けようとしているかのようだ。

●単純なホラーとして描いていればそれはそれで面白いのだが・・・・なんだかやたら問題を問題としてわざと搾り出しているかのようで頂けない。

●嫌だね、こういう映画は。そしてこういう映画にやたら刺激されて傑作だ、真実だ、これぞ本物だなどと言っている輩も嫌い。

●韓国で上映されてヒットしているということだが・・・・なんとなくあの国の社会情勢には合っているような気もする。

●この内容で尺は二時間半。・・・・・もういいって感じである。