『ファンタスティック・フォー 銀河の危機』 

●アメコミヒーローを実写映画かするというのは、日本の映画界でマンガや小説を原作として映画化が多数されているのと全く同じで、最初から有る程度の知名度と読者=観客が付いているから大きく外すことはないというロジック。ひょっとしたら大当たりするかもしれないし。

●最近ではフォックスが「X-MEN」「デアデビル」→「エレクトラ」、コロンビアが「ゴースト・ライダー」などを実写映画かしている。まあ、並んだ映画の題名を見てみればそれほど日本で大ヒットという作品もない。(本国アメリカでは当っているのもあるが) これは仕方ないことだ、アニメに詳しい人、アメコミファンとかでなければこういったアメコミ作品は殆どの人が名前すら聞いたことのないものばかりだ。日本でアメコミと言えばやはり「スーパーマン」「スパイダーマン」の二つになるのだろう。

●そんな日本の状況などとは関係なくハリウッドは儲けの堅い商売ができるアメコミを次から次へと映画化している。

●「ファンタスティックフォー」もこれまた同じで、一般の日本人の何パーセントがこのアメコミ作品を知っているだろうか?というほど知名度の低い作品である。こういうものを日本でヒットさせるのはやはり非常に難しい。アメリカ以外では作品の認知度の低さを少しでもカバーするために、際立ったキャラクターに知名度の高い俳優をキャスティングするとか、超可愛い女性や超カッコイイ男性俳優をキャスティングするとか、そういった方法を取らざるを得ない。だが、製作費にも限度がある、そんなに知名度の高い俳優を使ってはギャラが高くてかなわない。ということでミドルクラスかテレビ俳優などギャラの安い人を選んでキャスティングし、巧くヒットしたら万万歳というような感じである。

●というわけで、実は第1作は作品内容とキャラクターにまるで魅力を感じなかったし、明らかに子供向けという作品テイストがミエミエだったので鑑賞することはなかった。体が岩石みたいにデコボコしたキャラクターなどホントに小学校低学年向けという感じだし。(実際興行収入もボロボロだったようで・・・・)

●で、そんなふうで、見ることもなかった「ファンタスティツクフォー超能力ユニット」の第2作目がまたもや懲りずにやってきた。最初はへぇぇという程度であったが予告編を見て少し興味が沸いてきた。何と言っても今回の新キャラであるシルバー・サーファーのビジュアルとしてキャラクターとしての
魅力度は高い。誰がどう見てもターミネーター2の液体金属殺人マシーン、T-1000を思い浮かべてしまう銀ピカの人間(の様な生物か?)。相当に人間の動きをモーションキャプチャーして更に色々とコンピューターで計算させているのであろうが、ビルを突き抜けて加速する時にグググッと肩を入れるシーンなど、あまりに動きがリアルというか、それ以上なためこのキャラクターを見ているだけで飽きないし、はてさて、どういう役柄でどういうストーリーになるのだろうと想像を掻立てられる。

●このシルバー・サーファーのキャラクターは多くの少年、青年・・・もとそうだった人に受けるだろうね。なんというか、こういった人間ライクなサイボーグに男心というのは刺激される傾向があるのである・・・・と思う。

●ストーリー自体は特に捻ったところもなく、おちゃらけでサービス精神一杯のギャグシーンも多数あり、エンターテイメントムービーとして気楽に見ることが出来る。まあ、自分としてはシルバー・サーファーの動きを見ているだけで飽きなかったね。「これってどういうシーンをキャプチャーしてるのかね? この動きの元となった人物はどういうことを想像しながらこの動きを演じていたのだろうか?なんてずっと思っていた。

●話しは子供向けであり、大人が見るのならホントにお気楽に横になってテレビでも見るようなライトな内容の映画である。まあ、こう言った映画にあれこれ辛口批評してもしょうがないから、これはこれで楽しめたから良いって事にしよう。(ただし、1800円払って見ていたら、ちょい損した気分か? レンタルで充分であるとも言えるかな?)

●同じくFOXがシリーズ化したX-MENは人類とミュータントの対立だ、政治だ、人間の内面的な悪の部分だなどと色々と作品の中身を濃くしようともがいていたような気がする。おかげで映画自体はどうも「なに訳の分かんないことやってるのかねぇ、もっとバンバンドンスカアクション満載にしてくれればいいものを」と感じた。「ファンタスティック・フォー」はそういった七面倒くさいことは一切なしで、単純明快にコミックの面白い世界を実写にしている・・・・・・まあ、スパイダーマンなんてアメコミは相当ダークだが、子供が楽しんで読むコミック、つまりマンガなんだから自分としては[ファンタスティツク・フォー」的に頭に何にも残らなくても映像を見て楽しめてハイそれでオシマイという映画でいいんじゃないのと思ってしまう。これが何にもない上に、さらにつまらないと、くだらないなぁとまるで損した気持ちになるのだろうが、この映画はそこまでは行っていない。

●ふわっとお気楽映画を肩ひじ張らずに見たいという向きには最適だろう。