『トランスフォーマー』 

●あれまぁ、予告編やPRではなんだか『宇宙戦争』にそっくりじゃないの?なんて思っていたが、似たような内容にエイリアン侵略モノと感じていた。まあそれは間違ってはいないのだが・・・・・・内容は甚だしく子供向けの作品。東映はまんが祭り、東宝ポケモンなどで学校の休みシーズンには大量動員を確保しているそれは親と子供が一緒に行くから動員が最低二倍は読めるということがあってのもの。ロボット戦隊ものや変身モノ、アニメヒーローは中学生以下の子供向けに作られている。 まあ、日本のトランスフォーマーを原案として映画化したのだから子供向けという路線は「そりゃそうだ」というくらい当たり前の作りなのだが、試写を見た配給会社サイドが「これじゃ、作品に五月蝿い日本の大人たちの動員が激減する」と考えたのだろう。内容の子供向けなところはひた隠しにして、CG満載の最先端SF映画としての売り込みをおこなった。・・・・・・そしてそれを見た大人は・・・・なんじゃこりゃ? とがっくりくる。またしても巧いこと騙されたということになるのではないか。

●最初に中東の米軍をロボットが襲う辺りは「ほほう」と今後の展開を楽しみにしていたのだが、段々とまんま日本のアニメ作品と同じ流れになっていって、これは大人が鑑賞する映画ではないでしょう・・・・と落胆の度合いが増してくる。1時間半を越したあたりでもう「早く終われ」と思うようになる。なんともかんとも、スピルバーグもこんな映画作っている時間あるなら、もっと中身のある作品に力を傾けたら道なのだよと思ってしまう。

●敵のロボットと味方のロボットの対立の構図はなんだかよくわからん。キューブがなんでそれだけ重要なのかというのも冒頭で少し説明があったようだが、なんだか「なんでそれがないと侵略が成立しないのよ? それが無くても充分に大量虐殺しそうなロボットなのにねぇ」と意味不明。

●味方のロボットがやって来て数体が並ぶとなんともほんとに子供向けのロボット映画になってしまう。

●とにもかくにも、配給会社は宣伝にも相当苦労しただろうね。まともに宣伝したら興行はたぶん大失敗だったとおもう。

●パンフレットにはこんなことが書いてある「この話題作はCGの氾濫に麻痺した現代の観客の予想を遥かに上回る衝撃的な”次世代映像”をついに明らかにし、この夏世界はその迫力に驚嘆する」・・・・・・と! ・・・・まったくのどっちらけ映像。何がCGの氾濫に麻痺した現代の観客だ。いつもどおりのCGがもうごちゃごちゃしてなにがなんだか分からなくなってしまっているだけだ。これはもう映像表現ではなく、CGプログラマーはコンピューターで画面の動きを数字で入力し、それで全ての動きは計算されて絵になっている。映画としてのテクニックや映像の凄さはそこには感じられないのだ。この映像を作っているのは映像クリエイターではなく、数学、幾何学の人間なのだ。

●多くの人が今年の夏休みこの映画を見るだろう。子供はロボットの派手な変形に大はしゃぎするだろう。だが、大人はほぼ間違いなく、この映画にしらけると思う。二度見たいなどと思う人はロボットオタクかCGオタク位なものだろう。

●ストーリーはどっちらけ、感度も感激もなし。日本では想像もできないような大量の製作費を使って・・・・・こんな映画を作っているんだからハリウッドはダメになっていくわけだ。

●今年の夏最高の駄作と言っておこう。

●ちなみに、ちょうど今日産の新型RVのコマーシャルがTVで流れているが、このRVが瞬時にロボットに変身して車の間をくぐり抜けていくというものだ・・・・・ようするに、これと同じなのだ、この映画は。

●どこからも、だれからも、そして映画の歴史にもまるで残らないタダのCG映像。