『ドリーム・ガールズ』これがミュージカルか?  映画批評 by Lacroix

アカデミー賞にもノミネートされ、やれ感動のミュージカルだ、傑作だと話題にはなっていたが・・・・。どうも自分は最近のミュージカルと呼ばれる作品がまるでダメである。

●往年の『サウンド・オブ・ミュージック』『ウエストサイド・ストーリー』『アニー』『マイ・フェアレディ』などは疑いなく素晴らしい作品と認める。だが昨今のミュージカルと呼ばれる映画はどれも観るに堪えない。

●ちょっと前にアカデミー賞を作品賞を含む6部門も受賞した『シカゴ』も似たようなものだ。何が嫌かというと、昨今のミュージカルはセリフを唄に置き換えているわけだが、その歌い方がほぼ総じて「がなりたてている」状態なのだ。大声でギャーギャー喚いている。大口を空けて腹の底から声を出して、ガーガー叫んで歌っているものばかりなのだ。 上に書いた昔のミュージカルはそうではなかった。抑制の効いた、静かな場面では静かに、力強く訴える場面では大声でとキチンと唄として分別を弁えて映画の中に組み込まれていた。それが『シカゴ』にしても、この『ドリーム・ガールズ』にしてものべつまくなく、歌いはじめると大声でギャーギャーがなりたてている。叫んで喚いてるような状態なのである。

●いつからミュージカル映画はこうなってしまったのだろう? 趣も情緒もない。だったら普通のしゃべっていたほうがよっぽど感情表現が出来るだろうと思う(それではミュージカル映画にはならないのだろうが)

●『ドリーム・ガールズ』も予想通り、最初から最後までセリフの代わりにギャーギャー喚いていた。それだけの映画である。五月蝿い、ノイジー、なんでこんな映画に感動出来るのか?(まあ、多くの人は感動しているようだが)


●ということで、叫び声が五月蝿すぎ、キャラクターの設定もどろどろと濃すぎ、映画として自分は全くダメです。この映画を含めて最近のミュージカルを素敵だなんて言っている人は上に書いたような往年のミュージカル映画を見直してみて欲しい。そこにある深さや豊かさはこんながさつな映画の比ではない。

●これを観てしまった後、当分ミュージカル映画を劇場でみることはなくなりそう、そう思った。

★映画批評 by lacroix