『海猫』 

伊東美咲は誰が見ても美人。東洋的というか化粧によってはトップモデル級の美しさにも変化する。その伊東美咲が体当たりでベッドシーン、セックスシーンを演じるということで話題になった映画・・・・というか話題はそれだけ、そこだけで引っ張ろうとした映画か。
(こういうPRはこのブログで何度も批判しているが、引っかけには一番効果的だから何度も繰り返されるのは仕方ないことか)

●最終的には過激なシーンや伊東美咲の胸なども殆ど見えないようにカットされ、まあ美しい脚線とちょっとだけ見える体のラインだけが残った感じだ。それには事務所やらなんやらのいろいろな駆け引きがあったんだろう。トップ人気のドル箱女優をそうやすやすと脱がせられるか、商品価値を下げるようなことが出来るかと。

伊東美咲としてはココ一番体当たりの演技をして女優としての自分を一皮むけた成長をしたい、本当の女優の仲間入りしたいという決意もあったのではないかとおもうのだが・・・・この映画の内容、演技ではどうにもならない。脱いでいるところがモロに出ていたとしてもダメだっただろう、演技が最悪。

●だいたいにして監督である森田芳光は一体何を考えてこの映画の演出していたのか。だらだらと抑揚なく続くつまらないストーリー、北の漁村に嫁いだ女とその家族、兄弟が妙な関係に陥っていくそのストーリーもまるで理が通らぬツギハギで、なんでこういうことになるの?という理解が全く出来ない話しになっている。

伊東美咲の弟役の意味も不明、佐藤浩一の弟役である中村トオルがなぜ兄の嫁を好きになるのかも不明。三田佳子の存在はどっかのテレビドラマか昔の映画でよくあるような取って付け。

●冒頭のミムラの結婚が破綻する話も唐突であり骨董無形。兎に角なにがなんだか全然理解できない最低の映画。最後には崖から飛び降り自殺しておしまい? 

●脚本の酷さもあるが、森田芳光 は監督として何をしていたんだろう。全然なってない。

森田芳光は若かりしころ「家族ゲーム」の監督として最大級の脚光を浴びていた。新世代の監督だ、新しい感覚だともてはやされ、森田監督の作品ならば映画の歴史に一石を投じるものとなるかもしれないという期待を抱かせた。(マスコミが煽ったのかもしれないが)でも「家族ゲーム」の頃の鋭さや斬新さはもう見る影もない。その後に監督した作品も話題作などばかりであり、時代を突くようなオリジナルはなし。結局今のこの監督は会社が持ってきた題材で、それなりの作品を作る安全な雇われ監督というレベルに堕ちたというしかないだろう。

●「家族ゲーム」の頃のようなトゲと勢いで何かを作ってて欲しい、だがもう歳も取りすぎた。今の20歳以降の一番映画を観る世代は森田芳光 という監督を殆ど知らないだろう。沢山居る会社所属サラリーマン監督の一人として名前すら記憶に留めないだろう。そしてその証明とも言えるのがこの作品でもあるだろう。

●酷い映画である。・・・・・・・・。