『最終兵器彼女』
●コミックでは３５０万部突破！ ＯＶＡになったり、一部に熱狂的ファンが居るなどその噂は聞いていたが、どうもアニメオタ、機械兵器オタ、美少女キャラオタの嗜好に見事にマッチした作品なんだろうと思い作品そのものに触れる機会はなかった。他にも見たい作品は山ほどあることだし。
どうもこういった終末論的というか破滅論的というかそういう作品、特にアニメには一部オタク系の人の琴線を刺激するようななんらかのフックがあるのだろうな。行って見ればエヴァンゲリオンなんてのも同じような類いではないかと思ってしまう。
●その「最終兵器彼女」が実写映画化ということで、これはいよいよどうなるか？ 観ておくかな？という気になった。
●主役が前田亜季で、予告編も例のメカの翼がフィーチャーされていたりして、なんかちょっと面白いかも？という期待もあった。
●原作が３５０万部も売れているのならそれなりの観客動員も見込める。映画を見なかった人でも原作ファンなら一度は観たいとおもうだろうから、ＤＶＤ化してもそれなりの販売は見込める。レンタルもソコソコ以上に回るだろう。関連グッズもそこそこ売れるだろう。そう言った目論見が映画会社にはある。だって、全くのオリジナルストーリーを映画かするよりも、原作のヒットしたものは最初からそれなりの認知があるし、その人たちがなんらかの形でお金を使ってくれるからボロボロにコケることはない・・・・まあ、普通はそう考えるし、そう考えるから原作ヒットものばかりが映画化される。でも・・・あまりに酷けりゃその公式だって当てはまらない。
●最近で思いつくところだと「ドラゴンヘッド」「デビルマン」は割と大手の配給で公開されたにも関わらずどうしょうもなくしくじった。
その他にも記憶にも残らないようなものもいっぱい転がっているんだろうけれど。
●「デビルマン」はちょっと見てみようかな？なんて思っているうちに２週間で打ち切りになった。似たような路線で作った「最終兵器彼女」も・・・・殆ど劇場には掛からなかった。近くでやってはいたのだが公開一週間と経たずにモーニングショーオンリーになり、そして二週間で打ちきられた。観に行けなかった。まあ今にして思えば劇場で観ていたら激怒していたかも知れないと思うからそれはそれでラッキーなのかもしれない。
●作品の内容はというと・・・・んーＣＧＩは凄い！東映はテレビシリーズの仮面ライダーなどでＣＧＩの実績は相当に積み上げているのだろう。日本でもココまで出来るのか？と驚くほどの出来だ！エンドクレジットでは外国の企業名や名前も並んでいたから一部は海外のＣＧＩスタジオにも協力してもらっているのだろう。でも凄い。これには驚き。
●でも話しがもう酷すぎ。これはギャグなんじゃないの？って思わず吹きだしてしまうようなシリアスシーンも多々。
物凄い爆撃シーンの後、煙の中から兵器の体になったチセが現れて自分の正体を好きな人に見せてしまう。そして「シュウちゃん、ゴメン」なんて言う・・・・ここは真面目に観ていて思わず吹きだしてしまった。自転車で二人乗りしてラブラブなところにロケットが向かってきて・・・そうしたらチセのどこにそんなものが隠されていたのか？まるでウサギが糞でもするように自転車の後ろに乗っているちせの体から対空兵器みたいなのがごろごろと転げ落ちてミサイルを爆破する・・・・ギャグでしかないこれは。
●爆撃シーンやチセの変身シーンは目を見張るものがあるのだけど、話しが余りに骨董無形。誰がこんな脚本書いたのかと頭を掻きたくなる。
チセはなんとなくもじもじしていて地味ではっきりしない女の子というイメージでこれは前田亜季が巧く演じている。しかしシュウジ役の窪塚俊介はいったいなんなのか？もうまるで棒読みみたいなしゃべり方しかしないし、大体にして窪塚の顔立ちってどうも時代劇の役者みたいな感じで現代的な映像に全然合ってない。事務所がこの男優をこれから売りだしていきたいと思っているんだろうけど、それなら時代劇役者にしたほうがいい。チセとシュウジのラブストーリーも、もう子供のママごと遊びをやってるような感じで溜息・・・・。
●もう少しまともに映画を作らないと・・・これだけのＣＧＩには相当のお金が掛かっているんだろうけど、その回収だって厳しいでしょう。お金のかかる役者は前田亜季位なものであとは低コストのギャラですむ役者で揃えているようだし、幾ら知名度の高い「最終兵器彼女」の実写化でヒロインに前田亜季をつかったとしても・・・・映画としての根本を疎かにしてすぎである。
●さんざん書いているけど、観る価値はちょっとは有り。それはＣＧＩの凄さ。まあそこだけでももう一回観たいとはおもうから、ギリギリなんとか評価できるが、それがなかったら・・・・・。
最終兵器彼女公式サイト:http://www.toei-anim.co.jp/movie/2006_saikano/
最終兵器彼女、前田亜希インタビュー:http://www.magajeans.net/movie/0602020216.php
ぴあ映画生活『最終兵器彼女』:http://pia-eigaseikatsu.jp/title/14762/
