『プリンセス トヨトミ』

・普通の人間ドラマととらえるとまあそんなに詰まらなくも無いし。格段面白いというわけでもないが、飽きたり退屈するというほどではない。

・ただし、突飛な設定で大ぶろしきを広げたのにその設定がまったく話から遊離している。結構観ていて面白いのに”大阪国”なんていらないじゃん。という気になってくる。

・大阪国とかトヨトミとか全部取っ払ってごく普通の人情ドラマにでもしたらいいんじゃないのと思う。

・で、なんでこんな話がまるで閉じてない、いらんような背景だとか基礎の上にのっかってる映画なのに割と面白く感じるのか? それは役者がイイからだな。全部の役者がそれぞれイイ味を出してて、その演技を観てるだけでそこそこに面白いわけだ。話そのものが面白い訳ではない。ましてはトヨトミだ夏の陣だプリンセスだなんてものは正直この脚本ではあってもなくてもいい。でもそうなっってしまうと原作の存在意味もなくなってしまう。

・ということで、これは売れ筋小説家万城目学の『プリンセス トヨトミ』の映画化とはなっているが、原作のタイトルと大阪国というネタだけを借りただけで、その上にごく普通の社会人情劇をのっけて、父と子のお話しを絡めて、けっきょくその乗っけた話が主になって大阪国だとかそこに隠された豊臣家のことなどが傍の傍になって主客逆転させてしまっている映画なのだな。

・堤にしても綾瀬にしても、岡田、沢木といった役者の演技がよくて、駒としての動かし方が悪くないからへぇ〜という程度には観ることができ、面白さもあったが、それは全部役者頼み。映画の本質である話というところになると、いつもながら最後に「で、なんなの?」と思った瞬間に全部霧散してしまうような内容である。

・同じ役者全部使って、ちょっとした家族と人情のドラマを作ったらそこそこ面白いものが出来るじゃないのと思ってしまった。

・まあ、トンデモ映画だとか散々評判が悪かったが、それも納得ではある。