『嫌われ松子の一生』 

●もう、最後は涙が目の端から滲んで流れ落ちました。もうとてつも無い感動。やられた。参った。もうノックダウンされた。

●この作品には何の予備知識も無しで観た。取引をしているデザイン会社の人が「嫌われ松子の一生」が凄くいいよ。と言ったのはもう2ヶ月位前じゃないかったかな? その時はそうですかぁ?って程度にしか受け止めていなかったのだが、それはこのタイトルがなんとも許容できない、今までの経験から生まれる拒絶感を私に起こしたというのがある。

●このタイトルから想像するに、まあ癖の強い映画だろうし、ぶん自分が見たら全然ダメだろうなぁってタイトルからだけで想像してしてしまった。

●その後この作品に関する情報をなんら仕入れることもなく、タイトルから言って、きっと「下妻物語」的、いや、あの監督がつくってるんじゃないかな?なんて予想はしていた。でも確かめることもしていなかった。

●そんな感じで公開作品の消化といった気持ちで観に行ったのだが、最初からもう流れる映像のテイストで明らかに「下妻物語」と同じ監督がやってるんだなということは分かった。それだけ個性が強い絵の作りと編集だから。

●実は「下妻物語」は私は全然ダメだった。絵は斬新、今までに無いモノだっtが、まるでミュージッククリップのようなものであったし、話しがあまりにも詰まらなくて、これはダメだと思って劇場を後にした。「下妻物語」は去年結構人気が出たし、劇場も人が入ったし、DVDも売れた。凄いヒットした作品だったのだが、なにか鬱積した女子高生とかに受けてるだけなんじゃないの? 男の感性(私の感性ですが)じゃこれしんどいんじゃないの?と思って巷の大ヒットには否定派だった。出だしからその「下妻物語」と全くおんなじテイストで絵が畳みかけられたので、ああ、こりゃダメだなぁ・・・・と、開始30分位はそう思っていた。

●しかし・・・・段々と話しが進むに連れて・・・・・凄い!これは凄い展開だ!次はどうなるんだ?と息を飲むような状態になっていった。

中谷美紀は役者生命を賭けたかのような渾身の演技。わき役もどれもこれもクセのある役者、芸能人、アーティストなどを豪華絢爛に揃えしかも一人ひとりがこれまた上手い!日本映画にはなかったとびっきりファンキーでブチ壊れた映画。それこそプロモーションクリップ的な映像の切り替えとそのスピード。

●途中話しが余りに暗く、絶望的になりそうになるのだが、そこを上手くギャグで支えている。真剣に考えれば余りに悲しく、辛く、そして身に染みるストーリーだ。でも演出の巧みさでそれを救いのあるものに変化させている。

●ラスト・・・希望が見えたかの先に、これでは余りに悲しい、今という世の中の酷く歪んだ現実をぱたりと突きつけられると・・・・思わず涙が零れた。これで、こんなカタチで終わってしまうのかと・・・・。

●でもその更に先には「おかえり、ただいま」という優しさと希望と救いを見せてくれた。

●ことしは先月観た「クラッシュ」が最高傑作だと思っていたが、あっさりそれを乗り越えた! 『嫌われ松子の一生』こそが今のところ最高の映画だ。

●今年は豊作な年かもしれない。

goo嫌われ松子の一生オフィシャル・サイト:http://kiraware.goo.ne.jp/
アミューズ嫌われ松子の一生」DVDサイト:http://www.amuse-s-e.co.jp/matsuko/
嫌われ松子の一生 ロケ地情報 http://loca.ash.jp/info/2006/d200610_matsuko.htm
改めて気がついたのだが、家の直ぐ近くでロケをしていたのだねぇ。