『チェケラッチョ』 

●台風が低気圧にかわったものの、前線の活動が活発で金曜日から雨、というかGW後半からずっと雨。なんじゃこら、梅雨入りじゃないの?って天気。今日も起きたら雨、低気圧の影響で風も海辺では相当に強い。こうなると海遊びも出来ないし、なんかつまらない土曜日。

●で、ちょうどもらったまま行っていない映画のチケットがあったので、これでも見るかなって感じでふらっと劇場に足を運ぶ。
チケットもらっていなかったらほぼ見ていない映画だったかも。そもそもポスターがどうもなにが何だか「伝わらないねぇ・・」って作りだ。→

●予備知識も何も無く劇場に入ってびっくり!! もうはじめに座ってる観客の殆どが小学生か中学生。「え、そういう映画だったの?」と冷や汗。次から次へと前後左右の席を埋めてゆくのもみな子供たちばかり。ギャーギャー騒いでるし、こんな状況で映画を見るとは・・・どうなることやら?と半ば諦めの心境。こういう低学年層、子供向けの映画といえばアニメや怪獣もの、アイドルモノと思っていたの、この作品が子供向けのものだとは想像もしてなかった・・・・。
それは状況として仕方ないとして、それほどメジャーとも思えない役者を揃えたからといって、アニメ、怪獣モノではないこの実写作品がなぜこれだけ低学年層を集めているのか? 自分の情報不足ということだけなのか? それが良く分からないのがモヤモヤした感じ。

●映画が始まってまず驚いたのがこれが「沖縄モノ」だったということ。最近は沖縄モノは多々作られてるし、それだけが一つのカテゴリーとして分類されるくらいにもなっている。沖縄モノを作ればそこそこはヒットするという狡い考えもある。でもこのポスターには沖縄を感じさせるものは何もなかった。 ヒットを狙って沖縄というテイストを入れたのか? 入れたは良いけれど、それだけではひっぱり切れなくて結局ポスターは子供たちの記念写真にしてアイドル路線で子供を引き込もうとしたのか? ちょっと映画と宣伝と作品の意向がとっちらかって場当たり的にそれぞれがやってるという感じが否めない。

●作品は30分も経たないうちに退屈でかなり眠くなりウトウトしてしまう。後半からはなんとかありきたりの山も作ってくれて、最後にはほどよくまとめたという感じのではあった。
(バンドの大会みたいなのに出場する下りがあるけど、エミネムの8MILEの同様シーンの完全パクリ。おれはオマージュとも言えないレベル。「8MILE」観た人からすれば、バカじゃないの?ってシーンで、ちょっと興ざめしてしまった)

●映画の作りとしてはかなり雑だし、それこそ心理描写だ、キャラの深堀だなんだというような常套句は言うだけ無駄でしょうというもの。それでも終わりよければ全てよし! ラストに向かって野外ライブに思いを高める登場人物達の気持ちは「あ、こういうことあったよね、そうだよなぁ」なんて懐かしさと感傷を呼び起こす部分もあり、雨降るなかで歌い、踊るシーンは非常んイイ感じだったので、「これがあるならイイって事にするか、この映画」って何とか思えた。繰り返すけれど話しは雑、ホントにテレビの夏休み特番ドラマでも見ているようなかんじだけど・・・・若さとか、情熱とか・・・そういうものが(ググッと伝わる程表現されてはいないけど)ほろ苦く伝わってくる、そんな映画。

  • で、なんでこんなに子供たちがこの映画に来てるの?って疑問はいまだ分からず。

●そういうプロモーションしてた??・・・テレビのCMも見なかったし、媒体でそれほど取り上げられてもいなかったでしょ? 低学年モノの雑誌や媒体では宣伝してたのか? エンドロールでこの映画がいわゆるフジTVのお家芸作品だったというのを知るにつけ、あ、なるほどね、なんかフジがやってたんでしょ。という憶測は生まれたけれど。それ以上にORANGE RANGEの曲が全編に使われてフィーチャーされているというのがフックになってるのかな? 

●オレンジ・レンジは確かにイイ曲をだす。既存パターンから少しずれた歌詞と曲調、リズムがなんともいい!オレンジ・レンジがフックになってるのか? あとはだれまだ売り出し途中といった四人の登場人物が今子供たちに人気あるのか?  映画自体は見ても悪くないかな?って感じの内容ではあったが、夏になると毎年こんな感じに映画は出てる気がする。

  • そこそこ人気の役者、オレンジレンジ、沖縄、夏、バンド、初恋・・・・そういう受け要素を適度にミックスした狙いがミエミエのマーケティング作品。(ま、それがTVのやり方でもあるし)

●こういう作品を見るにつけ、思うこと。最近は邦画バブルなんて言われててDVDの流通が大きくなってから、製作費の回収目処もある程度つけられるようになり、沢山の邦画作品が作られているけど、劇場にキチンとかけられる作品なんてほんの一握りかそれ以下。殆どの作品は単館でそれこそ10館とか15館も流せれば上々という状態。大手劇場チェーンはそういう小さな邦画には殆ど手をださないし。結局作った人たちはロケ地や内容で絡みのある土地での自主上映を行ったり、公民館や公共施設での上映会を行ったり、そんなことを続けてなんとか作品が日の目を見るように頑張ってます。でも沢山の邦画が作られてもその作品や土地に関係ある人以外知ってる人は殆どいないなんて作品も山のようにある。そういった意味ではこのチェケラッチョなんて、作品の内容やレベルとは別のところで、公開規模は大きく、観客もそこそこ入っている。やっぱりテレビの力だよね。今後の映画制作においては資金とその後の地上波、デジタル、その他の放映までも見越して製作費回収のスキームを建てられるTV局と組まなければ大きな作品は作れないし、小さい作品であっても流通に乗せられないという状態がより進む。TV局が映画制作の中心に限りなく勢力を広げている、そんな時代になって、TV局と組まなければ大手配給も付いてくれないって状態。

●邦画は2000年頃から再びかっての勢いを取り戻し始めたという感じがあるけれど、わずか5,6年でまた下降線を辿り始めているような気もする。一部の大手製作の映画は派手に宣伝してるから邦画は勢いあるように思えるけど、その他の大多数の作品は・・・・また苦しくなってる。それでも10年前よりは大夫イイかもしれないけれど。

●この映画ヒロインは井上真央だけど、主人公の透が恋をする相手がなんと伊藤歩。先日「雨鱒の川」をたまたま思い出したように見て、伊藤歩の事を書いたが、不思議なものでそういうことをすると自分の見る映画にまた伊藤歩が出てたりして、なにか繋がりというか不思議なインスピレーション的なものを感じる。でも伊藤歩もこの映画だとあまりいい感じに見えなかったなぁ。影のある女優ではあるけど、その影がうまく光の対比で際立ってくれればいいんだけど・・・・・・ま人も役者もみな歳はとる・・・・(-.-)

●監督が宮本理江子、山田太一の娘さんということで、テレビ畑の人だからやはりこういう映画になったのかな?でも女性監督だから区別するわけじゃないけど、女性監督らしいキラッという光は無かった。

☆今改めて見返すと、このライブのシーンは悪くないね。夏の浜辺のライブっていうのはやはり特別だ!

yahoo映画『チェケラッチョ』:http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id324030/