『ダイ・ハード/ラスト・デイ』

カーチェイス、というかカー・アクションといったほうがいいであろう車のメチャクチャといえるほどの物凄い走り方は見応えあり。CGIも凄いなと驚く。

しかし、その他がもうなんというか発想が貧困というか、ネタ切れというか、もう新しさもなく、あれこれ考えてもこういった定番的な流れにしかもっていけないのだなということで、観ながら作品としての限界をもう考えてしまった。

フォックスとしてはドル箱タイトルであるのだから止められないだろう。どんなに駄作を生み出してもそこそこ以上の収益にはなるだろう。いや、却って手を掛けず適当に手抜きで予算を抑えて撮った方が儲かるかも? どんなに評判が悪くてもある程度の人は観るのだから。

・悪役が全然悪役していない。憎しみもわかないし、どこがそんな悪い奴なんだ?という感じである。娘にしてもそう。父と娘を悪役側に設定しても、そこに筋として「こんな奴らやっつけてしまえ!」という感情が出て来なかったら悪役失格。その典型的な例とも言える。

・ハリウッド映画はネタがなくても、ファミリーのキズナ、親子の繋がり、夫婦の助け合い・・・なんてものを入れればとにかく批判は和らげられるし、万人受けする話になるという定石があり、今回もその定石にすっかりおんぶにだっこしているような脚本。

原題の「A Good Day to Die Hard」を"ラスト・デイ”なんて馬鹿げた邦題にする辺りは、もう昨今の映画会社のプロモーション担当者たちの発想の貧困さの象徴みたいなもの。

☆2007-07-22 『ダイ・ハード4.0』http://d.hatena.ne.jp/LACROIX/20070722