『モンスター』(2003)

・確かに、あれだけの美形のシャーリーズ・セロンがメイクとはいえこんなおぞましいオバサン姿になって役を演じているというのは驚き。ただし、それがいわゆるネタになっていたわけであり、あのシャーリーズ・セロンが、あの美人がこんな・・・という意外性や驚き、娼婦役と言う下ネタの下品な好奇心が作品の認知度、動員に作用し利用されていることは否めまい。

・とはいえ、シャーリーズ・セロンの演技は確かに凄い。おぞましいほどだ。

・しかし、警察に捕まってからの話の展開はあまりに急ぎすぎというか端折り過ぎ。殺人を繰り返すに至ったまでの経緯や、女性の同性愛的な話は延々と描いているのに、つかまったらあっさり裏切られてオシマイってながれはいい加減すぎる。

・ラストにいたっては「そういう類型的な教条的なことをシラっと言って終わらせるのかよ」という感じ。

・それまでの流れをラストでいきなりぐしゃりと押し潰し、笑いで全部ごまかして適当にながしてオシマイにしたという感じで、このラストはもうどうしょうもないな。あまりに真面目に真剣にこの物語りを描いてたんでは救いようがなくなるからと、最後は冗談っぽく圧を逃がしてお気楽にまとめたと言うことだろう。