『ネバーランド』(2004)

●監督:マーク・フォースター 「チョコレート」「007慰めの報酬

●ジョニー・ディップは性格俳優的なアクが出ておらず素直な演出、縁起だ。ケイト・ウィンスレットは相変わらずの強いイメージ。この人が画面に出てくると映画が全てこの人の肉感的で情念的な雰囲気に支配されてしまう。それ程強いイメージの女優なのだが、私は好きになれない。ケイト・ウィンスレットはイギリス生まれなのだが、なぜかイギリス的な雰囲気、匂いを感じない。自分が持っているイギリスの雰囲気というもの、そのイメージがなにか高貴、優雅というものと結びついているせいかもしれないが、どうもケイト。ウィンスレットはイギリス社会の女性というよりアメリカ南部の女性という感じがしてしまう。「レボリューショナリー・ロード」のエイプリル役はいかにもという感じだった。(作品は好きではないけれど)

●ジェームズの妻ラダ・ミッチェルの容姿、雰囲気は英国的だ。

●映画の雰囲気は「ゴスフォード・パーク」などを思い起こさせる。イギリスの劇場、上流社会などというものを描くとどれもこれも似てしまうのは仕方ないのだろう。たぶん日本の武士とその社会を描くと外国人にはどれもこれも似たように見えているのだろう。

●ラストで描かれるネバーランドのシーンはなかなかいい。だが全体としては今一つな感じだ。純真無垢、夢に満ちあふれたピーターパンの映画ではなく、ピーターパンが出来るまでの実話メイキングストーリーであり、夫婦のいざこざ、確執、人間関係の醜い部分もきっちりと描いている。それはピーターパンの夢物語には混じり合わないものでもある。

●夢物語は夢物語だけで、それを濁すものは入れない純粋に夢物語のみで完結させたほうがいい。