『サトラレ』(2001)

鈴木京香はもうどっししりとした腰の据わった演技。八千草薫はもう演技しているなんてまったく感じさせない演技。演技をしているとまるで感じさせない八千草薫と並ぶと、鈴木京香の演技はもう充分最上級のものなのだけど、八千草薫の演技があまりに自然なものだから鈴木京香演技ががくんと下がって見えてしまう。

サトラレという奇想天外な設定は面白い。だが、それが映画の話しの中でどんな風に展開していくのか、周りの人に思っていることが全部伝わってしまうという異常な設定をどう話しの中で使いこなすのか? と思って観続けていたが、やっぱりこれは話しを膨らませるのに手を焼いたのだろう。残念ながら話しに広がりも深みも生まれなかった。まあ仕方あるまい。サトラレの設定を使って驚くような話しに持っていくとあまりにSF空想物語り的にしかなりえない。あくまで現実社会の中にサトラレを置いて話しを構築していくにしては、サトラレと言う存在は無理がありすぎるのだな。

・だから結局、この映画は何だか中途半端な結末にしかなっていないし、え、2時間かけて結局こんな話しで終わるの?といった不満が残ってしまう。

・流石本広監督で、撮影、構図など絵は巧い。だがやっぱり映画の根本である話しがこれでは・・・だめだな。

八千草薫の演技の素晴らしさをしっかり観ることが出来た。ラストの桜と、目を閉じる演技はそれだけでこころがホッとしてしまうな。

・内山里奈・・・このころはちょどいい若さで少女が女性になったばかりのころといったかんじで、ちょっとツンとしたイイ女になってる。いいねぇ。(と最近こればっかり)